【余禄】:円盤の形をしたレコードは…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:円盤の形をしたレコードは…
円盤の形をしたレコードは1880年代に米国の発明家、ベルリナーが考案した。エジソンが円筒形の蓄音機で先行したが作りやすい円盤形が勝利を収め、レコード業界の発展につながる
▲音楽配信の普及などでCD販売の苦境が続く中、昔ながらのアナログレコードが気を吐いている。日本レコード協会によると2023年の生産量は約270万枚、生産額は約63億円に上った。09年の約10万枚から復調し、34年ぶりに60億円を超した。とりわけここ2、3年の伸びが顕著だ
▲アナログブームは米国で始まった。近年は山下達郎さんによる再発行や、あいみょんさんの新譜販売など、話題も豊富である。他のソフトに比べた音のぬくもり感や、レコードプレーヤーに針を置くことの「新鮮さ」が若い世代にも受け入れられているという
▲レコード販売大手のタワーレコードは東京・渋谷にあるアナログ専門店の面積を倍増した。新盤・中古10万枚以上をそろえる。目当ての品を探す外国人客も多く、レジに列ができていた。日本は多様なジャンルの音楽を聴く文化があり、保存状態がよいレコードも多いため、中古市場が注目されている
▲カセットテープも脚光を浴び始めている。役所広司さん主演の映画「PERFECT DAYS」は、車内で主人公が選ぶカセットから流れる音楽が、作品の基調を形づくった
▲音楽的な再評価に加え、効率優先の暮らしを見つめ直す風潮が底流にあるのではないか。静かに広がるアナログファンの裾野だ。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2024年03月03日 02:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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