【余禄】:「供用開始」は「利用できます」…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:「供用開始」は「利用できます」…
「供用開始」は「利用できます」、「所管する」は「管理する」に。こんな具合に住民向け文書の表現を改めるよう、いわゆるお役所言葉の見直しに乗り出した自治体がある。三重県松阪市だ
▲きっかけは、保育士の資格がありながら勤務していない「潜在保育士」という行政用語に「わからない」との声が寄せられたことだった。漢字の羅列を避けたり、外来語などカタカナ語の乱用に注意したりするなどの原則を示した手引を今春、まとめた
▲松阪市が参考にしたのは、愛知県一宮市や同犬山市がすでに作成し、運用している手引だ。犬山市は役所ぐるみの文書改革を掲げており、定期的に改善例を点検している。同市総務課は「まずは意識改革から。表現だけでなく、文書のデザインも大切です」と説明する
▲役所の文書見直しは、これまでもいくつかの自治体が試みてきた。だが、首長の交代や、意欲の低下で長続きしなかったケースもある。デジタル関連語などが多用されがちな昨今だけに、もっと注目してよいテーマだろう
▲地方のお役所言葉は、中央官庁語の反映でもある。「税制による大企業とスタートアップの協業によるオープンイノベーション支援に取り組みます」。今国会、岸田文雄首相による施政方針演説にあったくだりだ
▲その気になれば、かなりの見直しがすぐできるのではないか。話題のチャットGPTの力を借りずともよい。必要なのは、施策やサービスをわかりやすく国民や住民に伝えようとする意思である。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2023年04月09日 02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます