【天風録・12.10】:ヒダンキョウの同志
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.10】:ヒダンキョウの同志
東京・夢の島の第五福竜丸展示館で1枚の寄せ書きを見たことがある。70年前のビキニ水爆実験で被曝(ひばく)した久保山愛吉さんの死を悼み、ある大学生協で働く有志が思いをつづった。若き日の田中熙巳(てるみ)さん(92)の名前が残る
キャッスル作戦・ブラボー(ビキニ環礁)
核実験現場と第五福竜丸の位置。被爆を受けて危険区域が拡大された。
当時の第五福竜丸(被曝前)
久保山愛吉(死の直前)
▲久保山家に全国から届いた手紙の中にあった。長崎で被爆し、親族5人を失った田中さんは「近親を殺されたものとして」憤り、平和のため頑張ろうと誓っている。苦学して工学研究者となり、日本被団協の活動に携わっていく原点にほかならない
▲きょうノーベル平和賞の受賞演説に臨む。核廃絶を求める力強い言葉とともにヒダンキョウは世界に知られよう。日本原水爆被害者団体協議会。その名に「水」が入る意味はやはり重い
▲もう黙ってはいられないと広島と長崎の被爆者が運動に立ち上がったのもビキニ事件がきっかけ。後にヒバクシャが国際語となるのは原爆の被爆地と世界の核被害者が手を携えなければ、という危機感からでもあろう
▲度重なる米核実験で死の灰が降ったマーシャル諸島の人々。原爆開発に伴う健康被害を訴える米国の住民。韓国やブラジルなどで生きる在外被爆者…。ヒダンキョウの世界の同志もオスロに目を注ぐ。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年12月10日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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