【ニュース裏表】:安倍派5人衆に離党のススメ 代議士の「士」は「武士(もののふ)」の意 伊藤達美
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ニュース裏表】:安倍派5人衆に離党のススメ 代議士の「士」は「武士(もののふ)」の意 伊藤達美
東京地検特捜部は先月26日、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件で告発されていた安倍派(清和政策研究会)の幹部7人を「嫌疑不十分」で不起訴とした。
7人は、塩谷立・元文部科学相(73)、下村博文・元文科相(69)のほか「5人衆」と呼ばれた松野博一・前官房長官(61)、西村康稔・前経済産業相(61)、高木毅・前党国会対策委員長(68)、世耕弘成・前党参院幹事長(61)、萩生田光一・前党政調会長(60)だ。
法的な責任を免れたとしても、自らの政治団体の政治資金収支報告書に適切な記載を怠ったことは間違いない。会計責任者との共謀は認められないとしても、その政治的・道義的な責任は免れない。
筆者は、この際、「5人衆」は少なくとも離党して、その責任を明らかにすべきではないかと思う。特に問題視するのは、5人が特捜部の事情聴取に対し、不記載への関与を否定するため「派閥会長の裁量だった」旨を供述したとされていることだ。
この間の「派閥会長」は、細田博之前衆院議長と安倍晋三元首相。いずれも故人だ。
もし、本当にそのように供述したのなら、故人となった先輩政治家の名前を出して責任逃れをしたといわれても仕方がないのではないか。
しかも、安倍元首相は「5人衆」にとって抜擢(ばつてき)、重用で現在の地位に引き上げてくれた大恩人ではないか。それにもかかわらず、このような供述が事実だとすれば、政治家以前に人間としてのあり方に疑問符が付きかねない。このことについても、しっかりと釈明し疑念を解いてほしい。
いずれにせよ「5人衆」が自民党および日本政治に与えたダメージは大きい。すでに自民党内では「処分すべき」との意見も出されているようだが、処分を待つことなく、自らの判断において「けじめ」をつけるべきではないか。
「5人衆」に対しては、野党から証人喚問や政治倫理審査会への出席を求められるかもしれない。もし、そのような要求が出されれば積極的に応ずるべきだ。国会での説明はまたとない説明のチャンスともいえる。事実関係を明らかにして再発防止の材料に供するべきだ。
衆院議員は「代議士」とも呼ばれる。代議士の「士」は「武士(もののふ)」の意に他ならない。なによりも名誉を重んじ、恥を恐れる立場でなければならないはずだ。
議員辞職、離党は〝切腹〟に等しいが、物理的な本当の「切腹」と違って命が絶たれるわけではない。真摯に地元有権者に真実を説明し、心底、反省したことが理解されれば、有権者の心に届くこともあるはずだ。「潔さ」を示して他議員の範となるべきではないか。 (政治評論家・伊藤達美)
元稿:夕刊フジ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース】 2024年02月12日 10:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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