【社説①】:派閥の資金疑惑 自民党は説明責任を果たせ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:派閥の資金疑惑 自民党は説明責任を果たせ
政治資金パーティーを巡る疑惑が次々に明らかになり、自民党への不信感は増す一方だ。党は全体像を調査し、国民に説明する必要がある。
自民党の5派閥がパーティー収入を政治資金収支報告書に過少に記載していた問題で、最大派閥の安倍派が1億円超の収入を記載せず、所属議員に還流させていた疑いが浮上した。
安倍派は1枚あたり2万円のパーティー券について、議員1人につき数十万~数百万円の販売ノルマを課し、ノルマを超えた分は議員にキックバックしていた。こうした運用は少なくとも2018年から5年間続いていた。
収支報告書に超過分の収入やキックバックした分について収支の記載さえあれば、法的な問題はなかったのに、そうした記載は派閥側にも議員側にもないという。
このため、通常の政治活動とは別の活動に資金が使われていたのではないか、という「裏金作り」を疑われている。
収支報告書に記載しなかったのはなぜか。記録に残っていない資金は何に使われたのか。
様々な疑問が出ているにもかかわらず、この時期に安倍派の事務総長を務めていた松野官房長官らは「政府の立場では回答を控える」と述べるにとどめている。事態の深刻さを認識しているのか。
東京地検特捜部は、政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いで捜査を本格化させている。国会議員が摘発されて失職する事態に発展すれば、岸田政権にとって大きな痛手となるだろう。
党総裁である首相は、各派閥にパーティーの開催を当面自粛するよう指示したが、自粛中にどのような対策を取るのかも不明確で、問題に正面から取り組んでいるようには見えない。
そもそもパーティー券に関しては、以前から「裏金の温床」になっているとの指摘があった。
政治資金規正法は、年間5万円超の現金を寄付した人の名前や住所を公開するよう定めている。
一方、パーティー券の場合は1回あたり20万円超の購入者のみ、同様の記載を義務づけている。パーティーは、報告の必要がない資金を集めやすいと言える。
政治資金の透明性を高めるには法改正は避けて通れまい。
パーティー券の購入者の公開基準を、寄付同様に5万円超へと引き下げることが考えられる。議員側に問題の重大性を認識させるためには、不記載・虚偽記入の厳罰化も一案だろう。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2023年12月07日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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