たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

久しぶりの雪組『凱旋門』『Gato Bonito!!』_東京宝塚劇場千穐楽ライヴビューイング

2018年09月02日 22時28分19秒 | 宝塚
 ようやく二日にわたって8時間眠れた休日、それでも眠い休日、つまんないことをしていたらあれほど楽しみにしていたライブビューイングに少し遅れてしまいました。ほんと間抜け。休憩時間にプログラムを買おうとしたらすでに売り切れ。KITTEに行った時キャトルレーヴで買っておけばよかった。26日の花組公演観劇のときまでお預け。過去に買ったものの中には今のようにデジタル化するという手段もないまま断捨離してしまったものもあってその頃はまだわかっていませんでしたが、ほんとに今だけなんだなあと一期一会なんだなあとショーをみながらしみじみ思いました。

『凱旋門』、初演をみているのに覚えていないという。パリの雰囲気ただよう舞台、耳に心地よい歌と盆が回るモノクロームな雰囲気をなんとなく思い出しました。ジョアンがうたう「パララ~♪」とラストのボリスが歌った「いのち」、さすがにラストは望海さんを中心に幕が降りるようにしたのかな。轟悠さんがあえて18年を経て再び今回主役のラヴィックを演じた意味。賛否両論あるでしょうね。貴重なトップの本公演を専科が主役で真ん中に立つ。ボリスの望海風斗さん、二番手の役所で望海さんらしい味をだしていたなあと思いましたがやはり物足りなかったです、正直。ボリスもよかったですが望海さんのラヴィックもみたかたったという感じは否めませんでした。ジョアンの真彩希帆ちゃんが新境地を開いたかな。たぶん彼女が素でもっている野性的な持ち味とは真逆の、したたかに生きる、女性にはあまり好かれそうにない女性をたおやかに美しく嫌味なく演じていて、いい娘役さんになってきたなあと思いました。少し背伸びしながらも難しい大人の女性をこなしていたと思います。最後は恋人に撃たれて死んでしまう、ずっと愛し続けたのはラヴィックでしたがラヴィックが追放されている間生きていくために仕事も生活も共にした男性に撃たれてしまった。死の間際の表情がアップで映し出されましたが死を悟ったジョアンとしての美しさと透明感にあふれていました。『激情』のカルメンをふっと思い出しました。真彩ちゃん、カルメンもやれるのでは、と思いました。役者として成長させてくれる役との出会いでしたね。ジョアンに手術をしても無駄だと知ったラヴィックがこれ以上苦しませたくないと彼女を安楽死させたあと叫ぶ場面は、叫び声が胸に響きました。ジョアンが亡くなると、ボリスが用意したニセの旅券を朝美絢さん演じる若者に譲り、第二次世界大戦が迫りくるパリの亡命者たちが泊まるホテルに手入れにやってきたゲシュダボに潔く自らを名乗り収容所へ送られる道を選ぶラヴィックの姿は沁みました。生きることを考えさせられる作品でした。重いですけどね。パリに二度いって凱旋門も間近にみました。シャンゼリゼ通りを歩いて足元から感じたパリのエネルギーが思い出されました。映像でまたみる機会があったらじわじわときそう。映像買おうかな。ほしい作品ばっかりですがお花屋さんしか買えてません・・・。

 ショーは藤井大介先生演出のノリノリのラテンショー。裏切りません。蘭ちゃんが大好きだとブログに書いていた猫の望海さんがねそべって登場する場面とか、いい声とラテンのリズムの望海さんの魅力が全開ではじけまくったショーでした。ほどよく可愛くほどよく濃厚でアダルトで熱いショーでした。黒猫のタンゴを歌いながら客席から登場する場面、99回目のアドリブでフリープランだったそう。「最初は僕の悩みをきいてもらい、そのうち悩みがなくなってきたことが悩みになり、ベルばらもやり(銀橋にいる)三人にむちゃぶりもし、僕の引き出しも増えました」と。ほんとに楽しそうでした。真彩ちゃんとのデュエットダンス、前回のショーはほぼ歌という印象でしたが今回はちゃんとダンス。タンゴでした。随所で真彩ちゃんもガンガンに踊っていてノリノリでした。二人の「コパカバーナ」のデュエットもすごく素敵でした。この歌繰り返し聞いたことがあるのですが一路さんの歌声できいているのかな。けあきさんかな。とにかく雪組。歌うまDNAの系譜。男役群舞の前に望海さんがソロでラテンダンスを踊る場面もあったりして、前回は踊るっていうイメージがうすかったので新たな魅力全開。楽しかったニャー。彩風咲奈さん、朝美絢さん、彩凪翔さんの男役のスターさんたちが女役で望海さんと踊る場面、鬘をつけず男役の髪型のまま踊っていたのは大介先生の冒険かな。藤井先生の冴えわたった演出と望海さんの魅力とのコラボがうまく花開いたショーで大満足。生でみたかったな。カーテンコールの望海さん、やりきった安堵感と満足感で素敵な笑顔でした。「猛暑のなか、休演者がひとりもでることなく全員で千穐楽を迎えることができてほっとしています」「平成最後の夏は凱旋門とGato Bonito!!
、おぼえていてくださいね」って、エアーカルヴァドスで乾杯も。「おいしい」ってうれしそうにほんとに美味しそうな表情をされたところがさすがです。「映画館のみなさん、楽しんでますか?」で客席拍手。「香港、台湾でも放送されているってきいていますが楽しんでますか? 一生懸命覚えた中国語、全部忘れてしまいました。シェイシェイ」。何度目かのカーテンコールで「ぼうっとしてしまいました」っていう場面もあったり、オレオレの男役とのギャップがすごいなあと、笑顔が可愛くて素はチャーミングな女性なんだなあと。真彩ちゃんもずっと笑顔。いつまでみることができるかわからないトップコンビ。ほんとに今だけなんですよね。一期一会。願わくば生でみたい。雪組だけ友の会でまだ当選できていません。次こそは無理かなー。その前に仕事どうするかなー。

 またきびしい一週間、ほんとにきびしい一週間、明日とかほんとにきびしいことが待っているんですよね。行きたくないの、こんなことまでやらんといかんのか、っていうこと。ほんとにね。三連休まであと二週間。今日の心のエネルギーを糧に生き延びられるかしらね。今夜眠れなくっても明日は貯金でなんとかなりますができれば眠れますように・・・。

 時間がなくなってきたのでかけ足でつづってみました。ちっそくしそう部屋に帰らねば、です。アップできていない写真の数々はまた休日にぼちぼと・・・。舞台はいいね。


山本健吉・池田弥三郎著『萬葉百歌』より_鏡大王

2018年09月02日 14時04分31秒 | 本あれこれ
「神奈備の磐瀬の森の 呼子鳥。いたくな鳴きそ。わが恋まさる(巻8・1419)

「かむなび」とは神の山ということで、神霊の依る木をたてて、その山に神を招いて祀ったところである。大和では、飛鳥の神奈備、竜田の神奈備、三輪の神奈備が有名だった。

 神奈備山のそばの逢瀬の森で、鳴いている呼子鳥よ。そんなにひどく鳴いてくれるな。わたしの焦がれ心がいっそう強くなることよーということ。

 これは呼子鳥に呼びかけた歌で、長く訪れて来ない恋人を恨む心が裏に籠っていよう。磐瀬の森の時鳥は外にも歌われ、神域の幽すいさの中に鳥の声を聞くことが、ひどく身にしみて感銘されたのである。ことにそれが晩春・初夏の季節に、含み声で鳴く呼子鳥だったことが、いっそう感傷をそそったのであろう。「わが恋まさる」の結句は、恋心がいっそうひたひたと胸にみなぎってくるということで、はなはだ率直の語気である。

 鏡大王は鏡王の娘ということで、額田王の姉であり、姉妹そろって中大兄にめされた。もっとも彼女の墓が忍阪(おつさか)の舒明天皇陵の城内にあるので、天皇の皇女か皇妹であるという説もあるが、そうだとすれば鏡女王とあるのが普通である。日本紀には鏡姫王とある。懐妊中、鎌足に下され、その正妻となった。そのとき生まれた不比等(ふひら)は、だから皇胤だったことになる。

 この歌は中大兄と鎌足と、どちらへの思いを述べたものか分からない。」

 (36-38頁より引用)

 
 有間皇子に次ぐ悲劇は、天武天皇の死後、謀反のかどで死を賜った大津皇子。天智天皇の娘で、天武天皇のもとに嫁いだ大田皇女(『あかねさす紫の花』の舞台では華優希さんが演じていました)が産んだ皇子です。この物語は、いわさきちひろさんの『万葉のうた』から書きたいなと思っています。

 断捨離してすっきりしたら残りの人生のなかで万葉集をゆっくり味わうのもわたしの願いのひとつ。


万葉百歌 (1963年) (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論社