たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

ミュージカル『ドリアン・グレイの肖像』

2018年09月23日 23時06分48秒 | ミュージカル・舞台・映画
 約2か月ぶりに生の舞台を観劇してきました。博品館劇場で上演中の『ドリアン・グレイの肖像』。銀座に行ったのはいつ以来だろう。普段気持ちがさがるところにいるので、全く縁のない高級ブランドが並んだ通りを歩くのはそれだけで気持ちが上がりました。銀座駅でおりてから四丁目、五丁目、六丁目と歩くの気持ちよかったです。歩行者天国で子どもちゃんたちも安心して走り回れる休日の午後。終演後は日比谷まで道間違えながら歩いてシャンテのカフェで宝塚劇場を眺めながら食事しました。食事の前に月組のチケットも引き換えきたし、先日買えなかった『凱旋門』のプログラムもげっと。食事を終えて店を出るとちょうどみりおさんが楽屋出のタイミングで遠くからお姿拝見。ものすごく細かった。軽そうにみえました。あんなに細い体で娘役リフトする場面があるみたいなので体が心配です。

 さて、前を通ったことはあるけど中に入るのは初の博品館劇場。舞台はディープで下北沢の本多劇場にいるような感覚。同時に歌とダンスがずっと続いたので、ある意味極上のエンターテインメントをみた感覚でした。出演者がみなさん踊れる方ばっかりでダンスの芝居力がすごかったし、ずっと続く歌も上手かったです。歌い上げるような曲はなく、同じ歌詞、同じフレーズを出演者が何度も歌っていたように思います。二幕だったかな突然ロック調になったり。拍手はカーテンコールのときだけ。それまでずっと観客は見守り続けながら舞台は進んでいました。フィナーレにドリアンのコピーみたいな髪型でみなさん登場されてダンスを繰り広げたのはなんかそれまでの退廃的な世界観をある意味ぶちこわし。剣幸さんまで登場してドリアンのコピーの髪型で踊っていました。賛否両論あると思いますがちょっと小ばかにしたようなこの終わり方、笑いを感じてわたしは好きです。女性陣が全員宝塚OG、トップスター、トップ娘役だったのはねらったわけではないそうですが偶然ではなく必然。ヴィクトリアの彩輝なおさんがあんなにいい女とは知らなかった。グラディス風花舞ちゃんはセレブレーション宝塚以来。表現力のあるダンス力健在、スタイルいいし歌上手くなっているしさらにみがきがかかっていました。物語のキーマンアガサの剣幸さんはさすがの佇まいでした。

 そしてお目当てのシビル・ヴェイン蘭乃はなさん、登場シーンが下着みたいなレースたっぷりの衣装に毛がふわふわとした大きな帽子。すごく似合っていて可愛かったし、表情も声色もすでに病んでいる感たっぷりでインパクトのある登場でした。前衛劇を即効で演じる自称女優で、ドリアンに惹かれ、だんだん狂っていく様はオフィーリアを彷彿とさせました。最後はジュリエットのように、この胸が鞘とナイフで自ら命を絶ってしまいます。ドリアンにもてあそばされた哀れな女優。脚本・演出の荻田先生、ブログで蘭ちゃんを時々出現するぶっとび系娘役と称賛されていますが持ち味をうまくひきだしてくれたなあと。自由の翼を得て呼吸する野性味、顔小さくて手足長くてものすごく細くて華がある。セクシーなのにアダルティではなく下品にならないところが蘭ちゃんの素の持ち味かな。歌は魂の叫びを歌ったいるような感じでダンス力を存分に生かしながら変で哀れな女優を見事につきぬけて演じていました。可哀想だけど可愛い、可愛いけど可哀想みたいな。いい意味で宝塚の娘役の殻を突き破り、下北沢のアングラ劇場の女優みたいなのにちゃんとエンターテインメント性をキープ。仕草もきれいでした。良知真司さんドリアンと蘭ちゃんシビルはなんか同士のような似ている感を感じました。蘭ちゃんが壁の前で肖像のようになった時のポージングと良知さんドリアンの肖像のポージングが全く同じにみえて、そういう演出なのかわかりませんが二人にはトートとエリザベートのような関係性を感じました。互いのなかに内在化されたような存在のような。二人のキスシーン多かったですね。良知さんドリアンは男性陣とのキスシーンも何回もあって同性愛だったという作者ワイルドの面影を感じました。良知さんというと『ブラック・メリーポピンズ』の不安障害のあるヨナスが印象的。このことはまた後日書けたらいいなと思います。東山義久さん、初代トートダンサーのお一人、蘭ちゃんとは昨年の『CLUB SEVEN ZERO』に続く共演。歌もダンスもさすが。秘密のクラブの経営者という役どころ、すごくお似合いでした。蘭ちゃんシビルの弟役のジェイムズ木戸さん、かわいいお顔立ち、ジュノンボーイ出身に納得。ジェイムズが殺されてしまうと天使の蘭ちゃんシビルが迎えに来て二人で寄り添うように眠る場面、蘭ちゃんが木戸さんの首に腕を絡ませて優しく抱くように寄り添う姿が二人とも天使で可愛くて目福でした。お似合い、姉弟だけどお似合い。ドリアンの肖像をダンスで表現していた長澤風海さんはバレエダンサーに納得。ダンスでの表現力豊かな役者が揃った舞台でした。30日までやっています。美しく官能的で退廃的な世界を体験したい方は是非。

この舞台、みりおさんと花組に観劇してほしい、こんな自由な翼を得てぶっ飛んでいる蘭ちゃん是非みてほしいけど時間的に無理か・・・。