たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2008年『フェルメール展』より-「絵画芸術」(1)

2021年08月21日 00時19分19秒 | 美術館めぐり
ヨハネス・フェルメール《絵画芸術》
1666-1668年頃 
ウィーン、美術館史美術館、油彩、カンヴァス
120× 100㎝

(公式カタログより)

「《絵画芸術》は多くの点においてフェルメールの画業の頂点に位置し、最も重要にして興味深い絵画である。フェルメールの明晰な芸術において多大な賞賛を集める要素がすべて組み込まれている。たとえば、注意深く遠近法的に構成された室内、穏やかな光が染みわたり、豊かな表現力に満ちたその空間、実にたくさんの細部、思慮不覚配置された色彩、落ち着いた静けさのなかにいる人物、しかもそのどれもが永続する瞬間のうちにとらえらている。その上、この作品は、彼の他の作品に比べ、ずっと多くの意味を帯びている。単にサイズという点で行っても、1656年の《取り持ち女》以来、最も大きい。この作品はまた、作者自身にとっても非常に重要なものであった。1666-1668年頃に制作した当時から1675年に没するまで、ずっと自ら所有し続けていたと思われるからである。家族は、彼の死後、経済的な苦境に見舞われたが、未亡人のカタリーナ・ボルネスはできる限りこの絵画を売らずに過ごした。1676年2月24日には、債権者の手に渡らぬように、この絵画の所有権を母親のマーリア・ティンスに移譲したほどだ。その際に作成された記録は、この絵画のタイトルを教えてくれてもいる。おそらくフェルメール自身にさかのぼるであろう。そのタイトルは、近代になってしばしば呼ばれてきたように《画家のアトリエ》ではない。2度にわたって言及されているところでは、「『絵画芸術』があらわされた絵画・・・」となっているのである。それは、17世紀の風俗画に付けられる通例の、さしさわりのない、記述的なタイトルではない。再現された場面よりも、むしろ絵画の意味に焦点を当てている。」

                                          →続く

この記事についてブログを書く
« もう少し体が待ってくれると... | トップ | 心配です »

美術館めぐり」カテゴリの最新記事