今日の全国紙の社説はすべて東京五輪招致成功を記事にしました。以下テーマを一覧しました。
朝日 東京五輪/成熟時代の夢を紡ごう 2013/9/10 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1?
朝日 東京五輪/原発への重い国際公約 2013/9/10 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2?
毎日 20年東京五輪/未来への遺産を作ろう 2013/9/10 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20130910k0000m070133000c.html
読売 2020年東京五輪/復興と経済成長の起爆剤に 2013/9/10 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130909-OYT1T01260.htm
【主張】2020年東京五輪 成功は世界への約束だ 2013.9.10 03:28 [2020年夏季五輪]
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130910/oth13091003280001-n1.htm
日経 国や都市の未来を考える五輪に 2013/9/10 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59483890Q3A910C1EA1000/
東京・中日 2020年/東京五輪 成功の条件 原発事故を封じ込めよ 2013/9/10 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013091002000139.html
安倍首相の大ウソ発言について、各紙はどのように表現したのでしょうか。
朝日
安倍首相は招致演説で、汚染水問題に「責任をもつ」と表明した。記者会見では、原発比率を下げていき、今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させることも明言した。世界に向けた公約だ。内外に「五輪誘致のための方便」ととられないよう、実行力が問われる。…政権の最優先課題として取り組んでほしい。「状況はコントロールされている」「汚染水の影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」——国際オリンピック委員会(IOC)総会での安倍首相のプレゼンテーションと質疑応答は、歯切れがよかった。
毎日 言及なし
読売
安倍首相は、IOC側の質問に対し、「影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」「福島近海でのモニタリング数値は、最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水ガイドラインの500分の1だ」などと説明した。具体的事実を挙げて、五輪開催への影響を明確に否定したことが、IOC委員が抱く不安の解消につながったと言えるだろう。政府は今後、着実に汚染水問題を収束させねばならない。
産経
安倍晋三首相は国際オリンピック委員会(IOC)総会で行われた最終プレゼンテーションで、東京電力福島第1原発の汚染水問題について「健康問題は現在も将来もない」と語り、「さらに抜本的なプログラムに着手し、実行することを約束する」と話した。これは全世界に向けて発信した重い国際公約である。汚染水処理については東電任せにすることなく、政府が前面に立って事態を収束させる責任がある。約束は、果たさなくてはならない。
日経
最終プレゼンテーションでは安倍晋三首相が福島の汚染水漏れについて「状況は制御されている」と説明した。この発言には違和感もあるが、世界が不安視する原子力発電所の問題を早期に収束させることが、政府に課せられた第一の使命だ。
東京・中日(共同)
東京勢が売り込んだ「安心、安全、確実」。世界から後ろ指をさされないよう原発事故の封じ込めが欠かせない。…安倍晋三首相は「状況はコントロールされている。決して東京にダメージを与えない」と強調したが、説得力を欠く。原発の敷地内では刻一刻と大量の汚染水が発生し、海に流出しているのだ。政府が前面に立って対策に乗り出す方針を打ち出したのはIOC総会の直前だった。招致を有利に運ぶための方便だったのではないか。疑念を晴らすには情報を公開しつつ有効な手だてを素早く講じることだ。国の信用が懸かった国際的な約束だ。東京さえ安泰であれば事足りると響く発想も戒めたい。福島をはじめ東日本大震災の被災地の切り捨てにつながりかねない。
安倍首相のプレゼンについて全く言及していない毎日は論外です。しかし、言及した各紙も大いに問題ありです。その理由は、以下のとおりです。
1.安倍首相のプレゼンの最大の特徴は、フクシマの「事実」の隠蔽発言と、その対策も展望を示していないという点で、全くのウソであったことです。
2.そのことは、安倍首相の発言の部分をよく読めば各紙も認めているのです。しかし、徹底した批判はありません。愛国者の邪論の検証・指摘は、以下のとおりです。ご覧ください。ご検討ください。
朝日は、いつものように姑息です。安倍首相の発言は、「歯切れがよかった」と言いながら、「内外に『五輪誘致のための方便』ととられないよう」と言いながら、「世界に向けた公約」だと声援を送っているのです。その声援は、その後の随所にわたってみなぎっています。
朝日は安倍自公政権の様々な問題点を指摘しながら、「将来像を語り、具体的な道筋を示すことが首相のつとめだ。日本での五輪開催の決定は、そうした取り組みを促す契機になってはじめて、心から喜ぶことができる」と、「方便」まがいの発言をした安倍首相を徹底して批判するのではなく、激励と応援のメッセージを送り、その手法すら提示しているのです。
安倍首相は、この社説を読んで喜んでいることでしょう。これなら、2020年まで政権を維持できそうだ!と。ここに朝日の姑息と不道徳ぶりが浮き彫りになります。
東京も、「招致を有利に運ぶための方便だったのではないか」と言っているのに、疑念を晴らすには情報を公開しつつ有効な手だてを素早く講じること」だと声援を送っているのです。
日経も、「福島の汚染水漏れについて『状況は制御されている』と説明した。この発言には違和感もある」とまで言っているのに、「世界が不安視する原子力発電所の問題を早期に収束させることが、政府に課せられた第一の使命」と、やはり声援を送っているのです。
産経は、安倍首相の発言を具体的に指摘することさえできず、曖昧な、抽象的な言葉でごまかした部分を指摘することで、やはりゴマカシました。
しかし、その産経でさえも、「全世界に向けて発信した重い国際公約」「政府が前面に立って事態を収束させる責任がある。約束は、果たさなくてはならない」と言わざるを得ないような安倍首相の発言だったのです。
読売は、「具体的事実を挙げて、五輪開催への影響を明確に否定したことが、IOC委員が抱く不安の解消につながった」などと擁護しながらも、やはり、「政府は今後、着実に汚染水問題を収束させねばならない」と言わざるを得ない事態があることを認めているのです。
3.五輪のプレゼンテーションの場で「公約」を発表しなければならないことそのものが、国民をバカにしていることを象徴しています。そもそも、この「公約」は、五輪に関係なく、もっと早く、国民に向けて発表さればければならない問題ではないのでしょうか。
結局、フクシマゲンパツの無策ぶりに対して国際的批判にさらされたという事実があったからこそ、東京招致を決定させるための手段として「公約」を語らざるを得なかったということではないでしょうか。もし、国際的批判に晒されなかったら、「公約」発表はなかったということになりませんか。ホントにケシカラン話です。
以下各紙の主張をみてみます。
朝日は、「原発比率を下げていき、今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させることも明言した。世界に向けた公約だ」と説明していますが、こんなことは、世界ではなく、国内ではないでしょうか。しかも「最大限」などと曖昧な基準に対して言及しらせず、容認しているのです。ここに朝日の姑息が浮き彫りになります。
更に言えば、安倍自公政権が、こうした政策を国内に向けて曖昧にしていたこと、その中で、汚染水が垂れ流され続けてきたこと、そうした事態に対して安倍首相は、ゴルフ三昧の静養をとっていたこと、などなど、世界から見ればトンデモナイことだったのです。朝日は、こうした安倍首相の言動を徹底して批判してきたでしょうか。
東京は、「とりわけ汚染水漏れの問題には、海外メディアから厳しい視線が注がれている。国際オリンピック委員会(IOC)の総会本番でも案の定、委員から質問が出た。国内ではともすると日常の風景に埋没しがちだが、世界は不安を覚えている」と解説していますが、何故、「海外で厳しい視線が注がれ…不安を覚えている」のに、「国内ではともすると日常の風景に埋没しがち」なのか、フクシマの当事者である日本、更に言えば最も身近なところにいる日本国民が、海外の厳しい視線を投げかけないのか、全く語っていません。
読売は、「最も懸念されたのは、海外でも報じられている福島第一原子力発電所の汚染水問題だった。韓国は6日、福島県など8県の水産物の輸入を禁止すると発表した。科学的根拠を欠く措置だ。東京のイメージダウンを図ったとの見方もある」などと、誰がそんな見方を語ったのか、明らかにせず、安倍自公政権の無策の責任を免罪しながら、社説を使って韓国民の意向を受けて対策を取った韓国政府を五輪招致活動を妨害しているかのように非難しているのです。呆れます。国際社会の恥でしょう。こうした視点は。
しかも、海外の厳しい視線を踏まえて、五輪招致を獲得するために打ち出した「今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させる」「世界に向けた公約」を意識して、「主要競技場の電力に再生可能エネルギーを使用する」などと、ゲンパツ再稼動は国際的に見れば困難であることを読売自身も認めているのです。潔くありません。
産経は「開催権を得た東京五輪は、日本の総力を挙げて成功させなくてはならない。これは世界と交わした約束である」などと、「日本の総力を挙げて成功」させる「約束」などと曖昧な日本語でゴマカシているのですから呆れます。その産経でさえも、やるべきことの第一に、「まず東日本大震災被災地の復興だ」と言わざるを得ないほど、復興が遅れているのです。その遅れている復興の中に何があるか。明瞭です。フクシマです。
しかし、産経は、こともあろうことか、
「招致に関してIOCから懸念材料とされた電力供給の不安に対しても、政府が責任を負う。安全性が確認された原発は速やかに運転再開が可能となるよう、立地自治体の理解を取り付けてほしい」などと、国際社会の「厳しい視線」を受けて「世界と交わした公約」「世界に向けた公約」である「今後3年間で再生可能エネルギーの普及と省エネを最大限加速させる」とかけ離れたことを平気で言っているのです。巨大なエネルギーが必要な五輪開催に当たって、破綻した原発エネルギーを使えと安倍自公政権を激励しているのです。国際社会からみて、こういう新聞ってどうなんでしょうか?全く理解できません。
つづく