愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

人間の平等原則は婚外子も選挙も同じ!抜本改正に取り組まない勢力が政権延命に手を貸してきた!誰か!

2013-09-05 | 日記

昨日画期的な判決がありました。

その理由は、天皇を大父親、皇后を大母親、国民を臣民として位置づけ、更には、民草せきし【赤子】天子様の赤子と呼び、末端の戸主である一家の大黒柱を「ちび(小)天皇」として位置づける、すなわち文明開化、四民平等なのに封建社会の「三従の徳」「七去」「七去三従」(中国伝来思想)を温存することで、封建的儒教的性格を持たせ、天皇制を支える家制度の中心的規範であった「民法」制度を打ち破るという意味をもったもので、まさに歴史的前進と言えるものでした。

日本国憲法が制定されても、まだまだ戦前の封建的残滓、いやそればかりか、二千年の「伝統」が色濃く残る日本国の社会にあって、後世の史家から画期的な判決と称されることでしょう。今後は、夫婦別姓問題などに波及していくことは確実です。

ただ、可笑しいと思ったのは自民党など、いわゆる「保守」と言われる勢力の対応でした。以下のNHKの日本語です。

…この規定に対しては、国連の委員会から、「差別的だ」と勧告されるなど少なくとも10回にわたって見直しが求められています。一方で、「制度を見直せば結婚せずに子どもを産む人が増える」とか「家族制度が崩れかねない」といった反対の意見もあり、改正は行われないままとなっています。自民党をはじめ与野党の保守系の議員からは、「婚外子と嫡出子の相続を平等にすれば、現在の結婚制度そのものが崩れかねない」といった懸念も出ており、今後の調整に手間取ることも予想されます。引用ここまで

最近ではどうでしょうか。結婚式場の「○○家」と「●●家」という「会場案内札」です。こうした「日本的伝統」が崩れるということでしょうか。ノスタルジックな印象を拭いきれませんが、結婚が「個人の尊厳」というよりも「家」に基づく「血統」の継承でしょうか。

ま、この問題は、個人の思想信条の問題もあり、一概に「悪い」とか「良い」とかは言えないでしょう。問題は、人間の平等原則が、制度によって侵されることにあります。近親者たち、当事者たちの「良識」という名の判断が重視されなければならない問題でもありますので、単純な「善悪」で語るつもりはありません。

今後は、「家」より「個人」が、よりいっそう重視されていくことでしょう。結婚という名の「家」づくりの是非か、事実婚が優先されていくのか、人間の意識の問題でしょう。個人と国家という問題にも発展していくことでしょう。そうなると、個人が国家を規制するのか、国家が個人を規制するのか、民主主義の根本が問われてくるのではないでしょうか

自民党の改悪改憲案が、今回の大局的な流れからみると時代遅れであることが浮き彫りになってくるのではないでしょうか。安倍自民党が自覚しているかどうか、別の問題ですが。

もう一つあります。それは、一票の格差を憲法違反とした最高裁判決と今回の最高裁判決を受けた谷垣法務大臣の対応と、それを伝えるニュースでした。法の下における差別の最たる制度である小選挙区制度とその恩恵によって政権を維持し、好き勝手なことをやっている自民党をはじめとした現行小選挙区制度温存勢力はどうするのでしょうか、ということです。

どちらも、同じ最高裁判決です。日本国憲法にもとづく、また人類の英知の宝物である日本国憲法です。自民党は天賦人権思想が入っている日本国憲法の人権規定は変えていくと言明していますが、こうした思想をもつ政党が多数を占める選挙制度が、平等原則を逸脱しているとした最高裁判決です。

【主張】一票の格差是正 やはり抜本改革しかない

主張/小選挙区「1票の格差」/「違憲」繰り返さぬ抜本改正を

更にあります。谷垣法務大臣の以下の言葉です。

違憲立法審査権を有する最高裁判所が、憲法違反の判断をしたことは厳粛に受け止める必要がある。判断内容を十分に精査して必要な措置を講じていきたい。相続は日々起きることなので、『法律にはこう書いてあるが、最高裁判所はこう判断している』ということで、いたずらに混乱を生じさせてはいけない。できるだけ速やかに検討して、速やかに対応策を講じていくのは当然だ…引用ここまで

この言葉から注目したのは、違憲立法審査権統治行為論でした。次に思い浮かんだのは、以下のことでした。(参考にしたのはウィキです)

(1)砂川事件上告審判決(最高裁昭和34年12月16日大法廷判決)

日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約」の合憲性判断について、統治行為論と自由裁量論を組み合わせた変則的な理論を展開して、司法審査の対象外とした。時の最高裁長官・田中耕太郎が初めて用い、日米同盟の憲法適合性が問われる問題では以後これが定着するようになる

(2)長沼ナイキ事件第1審判決(札幌地裁昭和48年9月7日判決)

一般論として統治行為論を肯定した上で、自衛隊問題については統治行為論の適用を否定し、違憲判決を下した。

(3)長沼事件控訴審判決(札幌高裁昭和51年8月5日判決)・百里基地訴訟第1審判決(水戸地裁昭和52年2月17日判決)

自衛隊の合憲性判断について、砂川事件上告審判決と同様の統治行為論により、司法審査の対象外とした。

この判決にあたって、司法権の独立が発揮されていたら、この国は、変わっていたのではないでしょうか。これについては、以下が参考になりました。

新原昭治『日米「密約」外交と人民のたたかい 米解禁文書から見る安保体制の裏側』(新日本出版社11年9月刊)

末浪靖司『9条「解釈改憲」から密約まで 対米従属の正体 米公文書からの報告』(高文研12年6月刊)

4月10日 伊達判決を破棄した田中耕太郎最高裁長官の方が、犯罪集団

砂川事件「伊達判決」と田中耕太郎最高裁長官関連資料 - [PDF]

砂川事件「伊達判決」と田中耕太郎最高裁長官関連資料

砂川事件 最高裁長官「一審は誤り」 - 琉球新報 -

司法独立性問われる/井上議員 伊達判決破棄で追及/参院法務委

更に思い浮かんだのは、「憲法の番人」と言われている内閣法制局問題でした。これについては、今朝のモーニングバード!の「そもそも総研 集団的自衛権って?論点大整理」で語っていた阪田雅裕氏の以下の話でした。この話を受けて、コメンテーター諸氏の、玉川氏の目が空ろであったのが、大変印象的でした。この日のコメンテーター諸氏のコメントには、いつも納得しているのですが、今日の彼らは、自分でも、「可笑しいな」と思いながら、阪田氏の言葉を聴いていたのではないでしょうか。本当のことを正直に言えないテレビ社会の実態を垣間見たような場面でした。愛国者の邪論には、そのように映りました。それほど、阪田氏の言葉は、つじつまがあっていませんでした。田中耕太郎最高裁長官の対米追随を免罪するような発言、憲法9条と自衛隊の矛盾を覆い隠す発言だったからです。

…憲法に書いてある幸福追求権を担保する為に、自衛隊が存在するのであり、 日本人の幸福が脅かされない状況で、海外で武力行使する事までは憲法は認めていない、と説明した。内閣法制局は法の番人とも呼ばれ、内閣が提出する法案が、憲法違反ではないと判断している。1959年在日米軍駐留の合憲性などが問われた砂川事件裁判で、裁判所は「高度な政治性を有するものは、裁判所の審査権の範囲外」と判断を放棄した。このように裁判所が安全保障における重要な法律の憲法判断を放棄している以上、内閣法制局が実質的な法の番人として機能しているのが現状である。(引用ここまで

以上の引用は、「TVでた蔵(TV DATA ZOO)」によるものです。

この阪田氏の説明で集団的自衛権行使は、違憲になるというものでした。今、「これまでの」内閣法制局が憲法擁護派であり、安倍首相が任命した集団的自衛権行使論派の小松一郎体制によって解釈改憲から明文改憲へと一気に移行していくのではないかという「危機感」が叫ばれています。しかし、愛国者の邪論は、それはそうでしょうけれど、「ちょっと違うな」と思っているのです。

それは、あの伊達判決に対して「統治行為論と自由裁量論を組み合わせた変則的な理論」という珍論・詭弁を弄して、すなわち米軍合憲論と自衛隊合憲論によって、最高裁が自衛隊違憲判断を放棄し、それに変わって自衛隊合憲論を支える役割を内閣法制局が担当してきたという構図です。

それが、今、安倍内閣の復活で、ニッチもサッチモ行かず、従来の内閣法制局が、何か護憲派であるかのように写ってしまっているという珍現象に日本が陥っているのです。内閣法制局によって自衛隊合憲論が既成事実化され、憲法学会が、井戸端談義派によって包囲され、今や、「実際に自衛隊が存在し、東日本大震災などで活躍しているから、実態に合っていない憲法9条を変えた方が良い」などという談義論に席巻されてしまっているのです。

しかも集団的自衛権の行使についても、「友達が襲われた時に助けないなんて、人間として可笑しい」とか、「国際社会で認められている権利を、日本が使えないなんて可笑しいから、憲法を変えた方が良い」とか、「使えるようにした方が良い」などというお茶の間談義論に席巻されてしまいそうです。

この様な井戸端談義・お茶のみ談義がニュコニョコ顔をもたげてくるのは、田中耕太郎最高裁長官の国家主権と国民主権、司法の独立権、日本国憲法への裏切りがあったからです。現在の日米同盟=軍事同盟が日本の平和と繁栄を築いてきたなどという珍論が横行するのも、この事件に対する検証と総括が、国民的レベルで行われていないからです。

それでは長くなりましたの、資料は別項に掲載します。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« カネで釣る五輪、福島を見捨... | トップ | 「婚外子」差別をNHKと全国紙... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事