弁護士出身、タカ派で強気な発言で知られる稲田氏が、公の場で涙ぐむのは珍しい。悲しさか、悔し涙なのか、涙の真意をめぐり、永田町ではさまざまな臆測が流れている。

稲田氏の涙の発端は、辻元氏の以下の指摘だった。

辻元氏 あなたは「自国のために、命をささげた方に感謝の心を表すことができない国家では、防衛は成り立たない。日本の存亡に関わる」とまで言っている。ところが、国防の責任者になって初めての8月15日に、閣議決定までした政府の公式の追悼式を欠席した。「自国のために-」と言っておきながら、欠席するというのは、言行不一致ではないのか。閣議決定した追悼式を欠席した防衛大臣は、あなただけだ。

これに稲田氏は、言葉を訂正するなど、動揺した様子をみせた。

稲田氏 私は常々、感謝と敬意、追悼の思いを持つということは、日本の国民の権利、義務と申してきた。そんな中で…、義務というより心の問題ですね。そんな中で、出席しなかったという指摘…誠にその通りでございます。国内外の部隊を、1日も早く自分の目で確認し、激励したかったとの思いからだ。日程を調整した結果、残念ながら(式典に)出席しなかった。

稲田氏は、8月13日にアフリカ東部のジブチに出発。追悼式を挟んで16日に帰国した。

辻元氏はこの経緯にもかみついた。

「(出張は)持ち回り閣議で、ばたばた決まった。現場の視察は大事だが、日ごろ言っていることと違う。あなたの『戦争で亡くなった方々へ心をささげる』という気持ちは、その程度だったのかと思われかねない」と、たたみかけた。

すると稲田氏は答弁に立った際、「今までの私の発言…。(辻元氏が)読まれた通りです。その気持ちは今も変わらない。出席できなかったということですが…」と言葉に詰まり、「ご指摘はご指摘として受け止めたい」とだけ、述べた。

稲田氏のジブチ出張をめぐっては、毎年8月15日に靖国神社を参拝している稲田氏が、防衛相就任後の今年も同様に参拝すれば、国際問題に発展しかねないため、回避するためだったともいわれた。辻元氏も本当はジブチに行きたくなかったのでは。8月15日に靖国神社に行くと、問題があるから、回避させたとの報道もある。あなたは、信念を貫かれた方がいい」と指摘した。

一方、辻元氏は、稲田氏が過去の雑誌の対談で「長期的には、日本も核保有を国家戦略として検討すべきではないか」と発言していたことも指摘。「この場で、この発言は撤回すると、はっきりおっしゃった方がいい。日本の国是とは違う」と指摘した。

これに対し、稲田氏は「今、日本が核保有をすべきではないと思う」と答弁。「『今、すべきではない』というから問題になる」として、辻元氏に再三、撤回を求められたが、「核兵器のない世界に向けて全力を尽くす所存だ」「非核三原則を堅持し、核のない世界へ全力を尽くす所存です」とかわし続け、撤回には応じなかった。(引用ここまで

時事 稲田氏、涙ぐむ場面も=辻元氏の「言行不一致」追及に 2016/09/30-22:14

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016093000976&g=pol

30日の衆院予算委員会で、防衛相が民進党の氏の質問に涙ぐむ場面があった。辻元氏は、今年8月に「靖国神社参拝を回避するため」稲田氏がジブチを訪問し、15日の全国戦没者追悼式も欠席したと指摘。「あなたはいつも、国のために命をささげた方に感謝しないといけないと言っている。言行不一致ではないか」と攻め立てた。稲田氏は「本当に残念なことに、出席できなかったということは、ご指摘として受け止めたい」と涙声で語った。(引用ここまで