うちの息子たちはもう成人して独立しちゃってますんで打てとか打つなとか親がどうこういいませんけども
(っていうか親がひとりは打つ派でひとりは打たない派なんで真似するという話ですらないですが)
←なんでこんなグラフを載せちゃったのか…
打つならファイザーとはいいました。それは外国のデータとかを見るならば数か月前からわかっていたことですが、そんなの(かなり暇で)あれこれウォッチしてないとわからないから念のためアドバイスしたわけです。
厚労省の案内が昨日付けで出てました→新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について
昨日、副反応検討部会ですったもんだして、表現を直したりして公開されたものです。なんにも言わないでほっかむりしてるよりは誠意が感じられます。
しかし、副反応部会でも、ファイザーなら安心というわけではないのに混乱を招くのでは…とかいろいろやりとりがあって、当初の案であった「一回目モデルナでも二回目ファイザー推奨」という表現からは一歩後退して、なんか「もやっ」とした感じになりました。どちらでもできますよといって本人にお任せするというような。
実際のところ、「モデルナ - モデルナ」より「モデルナ - ファイザー」のほうが安心になるのかというと、まぁたぶん…mRNAの量がだいぶ違うようなのでそうじゃないかとは思いますが、そんなデータ(クロスで打ったという)が大量にあるわけじゃないですから、専門家としても自信を持ってお奨めするというわけになかなかいかないのも当然です。
安全データに自信がないなら様子見でよさそうなもんですが、そうはいわずに打つことは推奨です。どっちでもいいからとにかく打てと。
そんな状況ですが、私は専門家でもなければうちの息子たちはもうファイザー二回済んでるし、もう何も口出しする義理もないんですが、それでもどうしても書かないではいられないことがあり、さきほど小林愛実さんのショパン前奏曲にすっかりヤラレたのでそっちの話もしたいところ、今日はこちらの話でいきます。
これは、上に貼ったPDFの一部で、ワクチンを打つのと打たないのとどちらが心筋炎・心膜炎になりやすいかを見て、自分で判断してもらうための情報提供チャート、の、はずなんです。そういう立てつけのチラシです。
縦軸は、100万人あたりとなっていて、グラフの目盛りは「ワクチンを受けた場合」と「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」でつながって線が引かれていますから、同じスケールで比べられるんだろう、というように見えます。
しかし、「ワクチンを受けた場合」というのは、受けると決めれば確率「1」なのに対して、「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」というのはかかる確率というのがそれよりずっと低いわけで(たとえば日本にいるなら1%とか)、それとこれを同じスケールで比べさせるのか? というツッコミどころがまずあります。もちろんわかる人はわかるだろうけど、視覚的には、ワクチン受けるほうのリスクなんてぜんぜん大したことないなと見えてしまいそうです。え? 別に錯覚を狙ってるわけじゃない?? まぁではそういうことにしておきましょうか。
しかしそれだけではありません。グラフの下に括弧で書かれていますが(15~39歳男性)とあります。今、「ワクチンを受けた場合」のほうは10代、20代の話をしているのになぜ39歳なんでしょう。これをどうやって比べたらいいの?? (これはたぶん、悪気があったわけじゃなくて、適当なくくりでのデータが取れていないのでしょうけど) なんか、比べにくい、読みにくいデータだなということがわかります。
そしてさらに。このグラフの「元」を見てみますと
(昨日の副反応検討部会の資料の11ページ)
「E: 新型コロナウイルス感染症(国内)は、国内の新型コロナウイルス感染症の入院患者の15~40歳未満の男性で、100万人当たり834人」(太字はアンダンテによる) (*)
10代でコロナにかかった人の大半は軽症で、入院もしていません。入院までいった人の率と、かかった人全体の率ではかなり違うはずです(どのくらい違うのかわかりませんが)。
この「入院患者の」を書かない…それがうっかりでも意図的でも…それは大きな誤解の素になりますね。パンフを受け取った人のどれだけが、元データをあたりに検討部会の資料まで見に行くでしょうか。
これじゃ、怪しげな健康食品のパンフレットによくのってるグラフのレベルです。大きな前提があるのにそれを書かずにデータを載せるという。
まだあります。上のグラフで「ワクチンを受けた場合」とあるのは、ワクチン一回当たり? それとも、二回? と疑問に思いますよね。そこで、副反応検討部会の資料の8ページを見ますと
チラシに載せた数字は、一回打った人と二回打った人が混ざった数字らしいということがわかります。二回目に限って100万ショットあたりの報告数にすると
10代: 28.83(グラフにある数)→43.21(二回目)
20代: 25.65(グラフにある数)→31.48(二回目)
となります。
つまり、何をいいたいかというと、厚労省から出ている「情報」は、わざとなのかわざとじゃないのか知りませんが、著しく歪んでいることもあるので…
自分の身は自分で守りましょう。
----- 追記 (2021/10/17)
(*) この「834」の元データのページがありました(昨日はそこまで見てなかった)。
同じPDFの、30ページです。
研究参加施設922施設で、調査対象となった入院患者(男性)が21,950人いました。そのうち、15~40歳未満にあたるのが4,798人。そのうち心筋炎になったのが「4人」でした。4,798人をぐぐぐーっと拡大して「100万人あたり」にすると834人となります…計算上…しかしそんな3桁精度の数字になるわけないですけど(笑) そもそも、834人の心筋炎患者が実在したという話ですらありませんでした。いたのは「4人」です。
しかも15~40歳未満で4人ですから。この表を見ますと、入院患者の中で心筋炎になる率は高齢のほうが高くなる傾向のようですし、もともと若い人の入院が少ないので、10代20代の心筋炎例はゼロだった可能性まであります(知らんけど)。
もちろんその場合であっても、新型コロナにかかって心筋炎になる若い人がいないという意味ではないです。単に、この統計からは何もいえないということです。こんな元データから、厚労省のチラシみたいなグラフを無理やり描いて「感染症による心筋炎・心膜炎の頻度に比べると、ワクチン接種後に心筋炎・心膜炎になる頻度は低いことがわかっています」なんて主張したら論文査読通りませんよ。
なんでこんな捏造っぽい数のこねくり回し方をしなければならなかったのかというと、「2021年5月31日時点」のデータであるためかもしれません。このあたりまでは、若い人の感染がほんとうに少なかったので、事例も集められない…デルタ株になってからはだいぶ若い人が増えたはずなので、そこで何人中何人が心筋炎になったということがわかれば真っ当な比較の棒グラフが描けたはずなのに…まだ、集計していないんでしょうか…データを取ってないんでしょうか…わかりません。
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打つならファイザーとはいいました。それは外国のデータとかを見るならば数か月前からわかっていたことですが、そんなの(かなり暇で)あれこれウォッチしてないとわからないから念のためアドバイスしたわけです。
厚労省の案内が昨日付けで出てました→新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について
昨日、副反応検討部会ですったもんだして、表現を直したりして公開されたものです。なんにも言わないでほっかむりしてるよりは誠意が感じられます。
しかし、副反応部会でも、ファイザーなら安心というわけではないのに混乱を招くのでは…とかいろいろやりとりがあって、当初の案であった「一回目モデルナでも二回目ファイザー推奨」という表現からは一歩後退して、なんか「もやっ」とした感じになりました。どちらでもできますよといって本人にお任せするというような。
実際のところ、「モデルナ - モデルナ」より「モデルナ - ファイザー」のほうが安心になるのかというと、まぁたぶん…mRNAの量がだいぶ違うようなのでそうじゃないかとは思いますが、そんなデータ(クロスで打ったという)が大量にあるわけじゃないですから、専門家としても自信を持ってお奨めするというわけになかなかいかないのも当然です。
安全データに自信がないなら様子見でよさそうなもんですが、そうはいわずに打つことは推奨です。どっちでもいいからとにかく打てと。
そんな状況ですが、私は専門家でもなければうちの息子たちはもうファイザー二回済んでるし、もう何も口出しする義理もないんですが、それでもどうしても書かないではいられないことがあり、さきほど小林愛実さんのショパン前奏曲にすっかりヤラレたのでそっちの話もしたいところ、今日はこちらの話でいきます。
これは、上に貼ったPDFの一部で、ワクチンを打つのと打たないのとどちらが心筋炎・心膜炎になりやすいかを見て、自分で判断してもらうための情報提供チャート、の、はずなんです。そういう立てつけのチラシです。
縦軸は、100万人あたりとなっていて、グラフの目盛りは「ワクチンを受けた場合」と「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」でつながって線が引かれていますから、同じスケールで比べられるんだろう、というように見えます。
しかし、「ワクチンを受けた場合」というのは、受けると決めれば確率「1」なのに対して、「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」というのはかかる確率というのがそれよりずっと低いわけで(たとえば日本にいるなら1%とか)、それとこれを同じスケールで比べさせるのか? というツッコミどころがまずあります。もちろんわかる人はわかるだろうけど、視覚的には、ワクチン受けるほうのリスクなんてぜんぜん大したことないなと見えてしまいそうです。え? 別に錯覚を狙ってるわけじゃない?? まぁではそういうことにしておきましょうか。
しかしそれだけではありません。グラフの下に括弧で書かれていますが(15~39歳男性)とあります。今、「ワクチンを受けた場合」のほうは10代、20代の話をしているのになぜ39歳なんでしょう。これをどうやって比べたらいいの?? (これはたぶん、悪気があったわけじゃなくて、適当なくくりでのデータが取れていないのでしょうけど) なんか、比べにくい、読みにくいデータだなということがわかります。
そしてさらに。このグラフの「元」を見てみますと
(昨日の副反応検討部会の資料の11ページ)
「E: 新型コロナウイルス感染症(国内)は、国内の新型コロナウイルス感染症の入院患者の15~40歳未満の男性で、100万人当たり834人」(太字はアンダンテによる) (*)
10代でコロナにかかった人の大半は軽症で、入院もしていません。入院までいった人の率と、かかった人全体の率ではかなり違うはずです(どのくらい違うのかわかりませんが)。
この「入院患者の」を書かない…それがうっかりでも意図的でも…それは大きな誤解の素になりますね。パンフを受け取った人のどれだけが、元データをあたりに検討部会の資料まで見に行くでしょうか。
これじゃ、怪しげな健康食品のパンフレットによくのってるグラフのレベルです。大きな前提があるのにそれを書かずにデータを載せるという。
まだあります。上のグラフで「ワクチンを受けた場合」とあるのは、ワクチン一回当たり? それとも、二回? と疑問に思いますよね。そこで、副反応検討部会の資料の8ページを見ますと
チラシに載せた数字は、一回打った人と二回打った人が混ざった数字らしいということがわかります。二回目に限って100万ショットあたりの報告数にすると
10代: 28.83(グラフにある数)→43.21(二回目)
20代: 25.65(グラフにある数)→31.48(二回目)
となります。
つまり、何をいいたいかというと、厚労省から出ている「情報」は、わざとなのかわざとじゃないのか知りませんが、著しく歪んでいることもあるので…
自分の身は自分で守りましょう。
----- 追記 (2021/10/17)
(*) この「834」の元データのページがありました(昨日はそこまで見てなかった)。
同じPDFの、30ページです。
研究参加施設922施設で、調査対象となった入院患者(男性)が21,950人いました。そのうち、15~40歳未満にあたるのが4,798人。そのうち心筋炎になったのが「4人」でした。4,798人をぐぐぐーっと拡大して「100万人あたり」にすると834人となります…計算上…しかしそんな3桁精度の数字になるわけないですけど(笑) そもそも、834人の心筋炎患者が実在したという話ですらありませんでした。いたのは「4人」です。
しかも15~40歳未満で4人ですから。この表を見ますと、入院患者の中で心筋炎になる率は高齢のほうが高くなる傾向のようですし、もともと若い人の入院が少ないので、10代20代の心筋炎例はゼロだった可能性まであります(知らんけど)。
もちろんその場合であっても、新型コロナにかかって心筋炎になる若い人がいないという意味ではないです。単に、この統計からは何もいえないということです。こんな元データから、厚労省のチラシみたいなグラフを無理やり描いて「感染症による心筋炎・心膜炎の頻度に比べると、ワクチン接種後に心筋炎・心膜炎になる頻度は低いことがわかっています」なんて主張したら論文査読通りませんよ。
なんでこんな捏造っぽい数のこねくり回し方をしなければならなかったのかというと、「2021年5月31日時点」のデータであるためかもしれません。このあたりまでは、若い人の感染がほんとうに少なかったので、事例も集められない…デルタ株になってからはだいぶ若い人が増えたはずなので、そこで何人中何人が心筋炎になったということがわかれば真っ当な比較の棒グラフが描けたはずなのに…まだ、集計していないんでしょうか…データを取ってないんでしょうか…わかりません。
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