アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

2ヘルツ上げを毎日

2021年12月06日 | ピアノ
調律師モノだというので久しぶりに小説読みました。「神様は五線譜の隙間に」(メディアワークス文庫)

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ラノベなんでそういうサクサク読める軽めの文体ながら、中身は、依頼人の望む音を究極まで求める調律師の話なので、たいへん興味深く一気読みしました。

スーパーな調律師(女性)と、新米調律師(男性)が中心で、スーパー調律師は訳あり(ピアニスト挫折)、新米調律師は腕はないけど耳はいい。(ありがちな設定かも…)
なんとなく「羊と鋼の森」を思い出すのですがこちらはラノベなだけに(?)淡い恋心がないでもない(とはいえほんのちょっとだけ)。

究極の調律ってなんだろう、っていうと、まずはそのピアノの持っている良さを引き出すということがあると思うんだけど、さらにいうと、そのピアノを弾く人が求めているものは何か、ということがあって、

ある人がそのピアノの音色に不満を持っているとすると、何か一般的な意味での問題が特にないなら、あとはもっと特殊な、好みとか思い入れとか。
この小説は、なので「謎解き」的な面もあります。

まぁ、小説を要約するような無粋な真似はやめときますが、記事タイトルにした「2ヘルツ上げ」というのはですね、440Hzで調律されているピアノを442Hzにする調律のことで、この小説の中では、新米調律師くんが練習として、楽器店にあるピアノを毎日「2ヘルツ上げ」するように言われてるんですね。

実際の新米調律師がそんなことをさせられているものなのか私は知りません。とはいえ、そういう基本動作(求める音程と少しだけ違うものを、修正してピタッと止める)を果てしなく繰り返すということが、速さと正確さを向上させるんだろうということはなんとなく想像がつきます。それがベースにあればこそ、応用(音色を思いどおりにする)も効きやすくなるのだろうと。

その「ベース」がないとどういう調律になるのか、実は知っています。

やまちゃん(ヤマハアップライト)は結婚のときに買ったもので、もう三十数年経ってるわけですが、前半の十年ちょっとにわたって、お願いしていた調律師さんがいました。とてもいい音で調律してくれていて、気に入っていたのですが、ある年にいつものように調律アポをとったところ当日「ピンポーン」と玄関に立っていたのは知らない人(「誰!?(o_o)」)。調律に来ましたというのでしかたなく家に上げ、調律をしてもらいましたがこれがもう…

音色がよくない、だけではなくててんでんばらばら、もうカオスです。弾きにくいといったらないんで、クレームの電話をかけましたところ、今回来た「知らん人」は、いつもの調律師さんの息子さんだそうで、
ベテラン調律師「でも音程は合っていたのでしょう?」
私「音程は合っていますが…でもバラバラなんですよ!!」

音程が合っていても音色がバラバラなのは、どっちからどう回してどう止めたのか、たぶん定まっていない適当な動作で到達地点の音程まで回したからなのだと思います。そしたらどうなるかというと、数日うちにどんどん音程のほうも狂ってきました。

ベテラン調律師さんは、私が、とにかくあの調律では話にならないというので、「次回は私が行きますよ」といってくれましたが…次回…この惨状を直しに来るんじゃないんだ…というのと、とにかくお知らせもお願いもなく突然知らん人が来るというやり方がビジネス的にありえないと思ったのでそのまま(他の調律師さんのあてもなく)断ってしまいました。

それで困って、子どもたちのピアノの先生に「うちに来てる人すごくいいよ」と教えてもらったのがT氏だったのですが、いやもう、「すごくいいよ」どころじゃなくアマチュアの個人宅に来てくれるのがもったいないくらいのゴッドハンドだったので、よくいう「調律・整音・整調」でいうと「調律」分の時間しかお願いしていないのに、さらりと弾き心地よく美しい音色に整えてくれます。魔法みたい。

めるちゃんの音が狂ったんで、安いハンマーをアマポチしてよしぞうに直してもらったとき、当然ですが、ああでもないこうでもないって無駄な動きいっぱいでいじるわけで、時間はけっこうかかるうえに、目指す音程にもっていくことはできてもすぐ狂うんですよね。それにあんまり余分にいじっていてもしかしてピンを傷めたりするとコトですので、動きを最小限にというのはそういう意味でもだいじですから結局諦めて深追いしないことにしたのでした。

別に速いことが正義といいたいわけではないんですが…コンサートの調律をする場合は、もろもろの制約から時間との闘いになる場合もあるのですね。ショパコンとかだと、何台もあるピアノで時間区切って夜中勝負ってことになるようですが、その限られた時間内でどこまでできるか、という…この小説の最後らへんも、「時間」がとても重要なシチュエーションでストーリーを盛り上げています。

----- 今日の録音
イパネマの娘
すこーし弾き方変えてみた

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