作品その９１・恋のから騒ぎ

たかあきは『賢者の石』と『三日放置した魚シチュー』を材料に『恋人の為の虹茶』を錬成しました。用途は謎です。

　女二人に男一人という組み合わせは往々にして三角関係に発展するものだが、その点は師匠たち三人も例外ではなかった。が、彼は彼女を好きで、彼女は師匠と彼が恋仲だと思い込んでいて、師匠は同性の彼女が好きだったので、当人たちの思惑はどうあれ随分と長い間ややこしい関係が無駄に続いたらしい。

骨董品に関する物語・デスカードの挟まった表紙のない祈祷書

　溶けて心臓の形に固まった錫の兵隊や、溶ける事のなかった幸福な王子の鉛の心臓のように、無力でみすぼらしくて無価値でありながら揺るぎない愛を示した心を、あの方は喜ばれるのです、彼はそう言って表紙の取れた祈祷書と９枚のデスカードを恭しく捧げ持ち、その場から消え去った。払って貰えなかったお代はとりあえず、天国へ通じる階段への積立金だと思っておこう。