カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・梟の印章

2018-12-08 19:54:06 | 突発お題

 パブロ・ピカソの本名程ではないが滅多矢鱈に長い名前を持つ友人が、印章を作りたいが何しろ使いたい頭文字が多過ぎると愚痴をこぼしたので、頭文字を全部組み合わせた長い印章でも作ったらどうだ、飾りは英知を意味する梟でと冗談を言ったら、まさか本気にするとは思わなかった。
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骨董品に関する物語・「月のひかり・或いはリリーお嬢様の本棚・子供の歌と踊り」

2018-12-08 13:23:30 | 突発お題

 子どもの頃、眠ったまま二度と目覚めないのではないかと怯える私に母は柔らかい声で子守唄を歌ってくれた。母の歌うお月様が照らし出す夜の世界はとても優しく、帰りたくなったら子守唄を思い出せばいいのだと言われて安心した私は、やがて眠りに身をゆだねるのが怖くなくなった。
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骨董品に関する物語・月を映したマイクロフォトグラフ

2018-12-08 13:21:16 | 突発お題

 空に浮かぶ月の美しさに魅せられ、その美しさを自分だけのモノにしたいと願った少年がいた。少年はやがて科学と写真術を学び、技術を身に着け、月の姿を微小なプレパラートに封じ込めることに成功したが、その頃には子どもの頃に抱いた月に対する焦がれるような願いを忘れ去ってしまっていた。
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骨董品に関する物語・携帯型顕微鏡・その2

2018-12-08 13:18:43 | 突発お題

 実はこれで妖精を視るんだと奴は言い、それは興味深い話だと詳しく尋ねたところ、妖精というのは針の先でも集団で踊る事が可能な天使と同じく質量に左右されない存在なので、人間に覆いつくされて暮らしにくくなった現代ではそのサイズを変えて植物や昆虫細胞の狭間で暮らしているのだとか。
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作品その95・決断と、結果と、結論。

2018-12-08 12:40:19 | 見習い錬金術師の作品
たかあきは『星屑』と『水砂糖』を材料に『天使の一角獣』を錬成しました。用途は体力回復です。

 師匠は僕をどうするか随分と悩んだらしい。擬似生命体なら外気に晒せば数日で肉体が崩壊するし、このままにしてもエーテル液の供給が止まれば同じ結果となる。そして結局、賭けに出ることを決めた師匠は僕を装置から出し、一週間たっても無事だった僕を、生成過程はどうあれ紛れもない人間、そして彼と彼女の特徴を併せ持って産まれた二人の子供だと判断したという。
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