作品その９０・甘すぎる特訓

たかあきは『孔雀石』と『水砂糖』を材料に『災禍の炭焼き菓子』を錬成しました。用途は体力回復です。

　今からは想像もつかないが、当時の師匠は製菓が苦手で消し炭や残骸ばかり錬成していた。逆に彼女は製菓が得意だったので、師匠は彼女に泣きついて教授を願ったらしい。そして鬼教授と化した彼女の元で全身の毛穴から甘未が噴出しそうな激しい特訓学習を重ねた結果、見事製菓の神髄を理解した師匠だが、恐らく最大の被害者は味見役に任命された彼だったと思う。

骨董品に関する物語・モーゼルの花瓶

　憧れだった綺麗なお姉さんの住む家の窓辺には綺麗な花瓶が置いてあって、朝に通るといつもは白い花が飾られていたが、たまに赤い花だった日に限って早々にカーテンが閉められていて寂しい思いをしたものだが、当時の私は綺麗な世界を覆い隠すカーテンの向こう側に存在する世界を知らなかった。

骨董品に関する物語・モーゼルの花瓶

　憧れだった綺麗なお姉さんの住む家の窓辺には綺麗な花瓶が置いてあって、朝に通るといつもは白い花が飾られていたが、たまに赤い花だった日に限って早々にカーテンが閉められていて寂しい思いをしたものだが、当時の私は綺麗な世界を覆い隠すカーテンの向こう側に存在する世界を知らなかった。

骨董品に関する物語・パーキュパインクイルのペン軸とペン先セット

　古くからの文通友達から来る手紙は常に季節や時節に合わせた便箋封筒と切手を選んでいるだけでなく、文章を綴るペンやインクも厳選している。なので僕も手紙は必ずヤマアラシの針毛製ペン軸に差したペン先で文章を書くようになった。それがKという頭文字を持つ、顔も知らない文通友達と僕だけに通じる礼儀であり挑戦なのだ。