カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

作品その96・師匠が与えることが出来たもの

2018-12-10 21:34:20 | 突発お題

 培養液の中に浸かっていた僕がどういう生育環境にあったのかは不明だが、師匠はとにかく僕が自分の力で人間として生きていける道を模索したらしい。何も知らない他人に預けるのは不安要素が多過ぎたが師匠は偏屈な錬金術師以外の何者でもなく、結局、僕に教えられるのは錬金術以外に無かったという。
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骨董品に関する物語・貝殻のロザリオケースに入ったロザリオ

2018-12-10 20:34:58 | 突発お題

 真珠は涙が変化した石だという伝承があるが、それを聞いて私が想像したのは、真珠貝の中で己の抱える鋭く尖った悔恨を何度も何度も繰り返す懺悔によって包み込み、やがて見事な白虹色の粒に仕立て上げる真珠の姿だった。それは果たして贖罪か、或いは昇華と呼ばれるものなのか。
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骨董品に関する物語・卓上ミラー

2018-12-10 18:36:10 | 突発お題

 魔女だった祖母の遺品を整理していたら、白雪姫の母親が所有していた鏡を名乗る卓上ミラーが出てきた。あの鏡にしては小さくないかと突っ込みを入れると、姫の方が美しいと答えたら叩き割られ、リメイクされたとか。そんな訳で卓上ミラーは現在、この広い世界における一番の美女を模索中だ。
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