第二景・あの日の桜樹

たかあきは、悪夢の故郷と桜の花に関わるお話を語ってください。

　あの桜の根元に何を埋めたのかを思い出せない。故郷を離れる前日、確かに何かを埋めたはずなのだ。黒土と血にまみれた手を近くの川で洗い流し、何度も叩き付けるように踏みしめたあの地面に一体何が埋まっているのか。そもそもあそこが一体何処なのか、誰が私の側にいたのか、どうしても思い出せない。

骨董品に関する物語・惑星時計

　惑星時計は持ち主の少年が大好きだったので、毎日星の付いた針をぐるぐる動かして時間を示し続けた。やがて少年は時計を忘れ、時計はガラクタの山に埋もれて動かなくなったが、大人になった少年が偶然ガラクタから掘り出した時計の竜頭を巻いた分だけ動いた後、完全に壊れて二度と動かなくなってしまった。