カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第五景・花に棲む鬼

2018-12-23 23:45:49 | 桜百景
たかあきは、宵闇の学校と桜の幹に関わるお話を語ってください。

 子供の頃、酷いイジメに耐えかねて校舎脇にある満開の桜樹で首を吊ろうとしたことがある。結局は失敗したのだが、ロープが首に食い込んだ直後、目の前に雪白と緋色を重ねた古風な着物を纏った鬼が現れて私に何かを囁きかけ、気が付いたらロープが切れていた。あの鬼が何者なのか、いつか知る日は来るだろうか。
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骨董品に関する物語・硝子製の印章

2018-12-23 14:58:26 | 突発お題

 特注でガラス軸の印章を作らせた祖母に、硝子は割れるかもしれないから金属が嫌ならせめて水晶の軸にすれば良かったのにと私が言うと、祖母は「割れるかもしれない硝子だから余計大切に扱おうと思えるのよ、この印章を捺印した手紙を送る相手の縁と同じようにね」と微笑んでみせだ。
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