立体視で見える星たちはあんなにはっきりした姿をしているのに、指を伸ばすと即座に姿を消してしまうのが不思議で仕方なかった。すると父さんは、目に見えるものが全て触れるわけではないし、逆に目に見えず触れないものでも、確かにそこに存在するものだってあるんだよと言った。
立体視で見える星たちはあんなにはっきりした姿をしているのに、指を伸ばすと即座に姿を消してしまうのが不思議で仕方なかった。すると父さんは、目に見えるものが全て触れるわけではないし、逆に目に見えず触れないものでも、確かにそこに存在するものだってあるんだよと言った。
ずっと昔、この辺一帯が火事になった時に祖父は僕の目の前で燃えましたと男は言った。神に愛されのるに相応しい聡明で家族思いな素晴らしい人でしたが、それでも焼け焦げて骨になったのですと薄く笑った男が立ち去った後には精巧な骸骨のペンダントが残されていた。慌てて周囲の人間に男の事を尋ねるが誰も知らないと言う。また、この地域が大火事に見舞われたことはなく、強いて言えば先の大戦中に空襲を受けた事がある程度だそうだ。