カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・ヴァイオレットのボンボニエール

2019-02-02 17:33:30 | 突発お題

 紫は高貴でありながら狂気を孕んだ色だと奴は言った。情熱の赤と冷静の青が入り混じることで生じる二面性が競い合い、それに耐えうる力を持たないものを壊すのだと。ちなみに紫色と言えば葡萄だよなと話を変える奴は案の定、俺と会う前にワインを飲んで酔っ払っていやがった。壊れているのはお前だろうが。
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第二十八景・夢のあと

2019-02-02 16:34:54 | 桜百景
たかあきは、悪夢の廃墟と桜の花弁に関わるお話を語ってください。

 昔聞いた話。風に散る桜の花弁があまりに綺麗だったのでお気に入りの宝石箱に詰めて大事に引き出しに仕舞い込み、そのまま忘れてしまった女の子がいた。当然の事だがしばらく経って再び開いた宝石箱の中身は物凄いことになっていて、女の子は図らずも大人への階段を一つ昇ってしまった気がしたそうだ。
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骨董品に関する物語・スペインの天文書「astronomia」

2019-02-02 00:03:35 | 突発お題

 以前古い天文本を買って帰ったお客が、今度は仲間を連れて再び来訪した。明らかに季節外れの身なりだけでなく身長体重を含む外観に寸分の違いもない集団は散々店内を物色してから嬉しそうに思い思いの品物を購入していった。例によって使用通貨に問題は無いので立派なお客様だ。
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骨董品に関する物語・ヴィクトリア調の真鍮製クリップ

2019-02-02 00:02:21 | 突発お題

 飽きたので別れた女が記念にと真鍮製のクリップをくれた。値打ちものだと自慢していたら手放した方が良い、何をされるか判らないぞと言う奴がいて相手にしないでいたら、ある日目覚めるとクリップに頬の肉をがっちりと挟まれていて、その為に出来た痣は結局、死ぬまで消えなかった。
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