カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第四十八景・恐らくは、春雷

2019-02-27 20:26:06 | 桜百景
たかあきは、迅雷の思い出と桜の上に関わるお話を語ってください。

 幼児の頃だったのは間違いないのだが、妄想なのか現実なのか判断出来ない記憶がある。桜の季節に雨具を身に着けた姿で豪雨の只中を歩いていて、空が妙に明るいのは遠くの空で金色に輝く稲光のせいらしかった。傍らの大人は自分を家まで送ってくれたのだが、それに関する前後の記憶は一切残っていない。
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骨董品に関する物語・リモージュのデミタスカップ

2019-02-27 18:10:30 | 突発お題

 久方振りに住処を訪れた勇敢且つ無謀な人間に対して、慣例に従い「願いを告げよ」と竜が言うと、何故か鱗を調べさせて欲しいと答えが返ってきた。自分は職人だが病で眼をやられ、完全に光を失う前に最高の細工を完成させる為に来たと。相変わらず人間は面白いことを考えるものだと思いながら何かを紙に描き付けたり鱗に触れるだけでなく粘土で型を取ったりする人間の思う通りにしてやったが、あの職人は最期に何を作ったのだろうと考えることがある。
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