カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・アールヌーヴォーの印章

2019-02-14 20:53:02 | 突発お題

 爺さんが皆に惜しまれつつ大往生した時、俺は頭文字が同じという理由で優雅な印章を貰った。正直なところ使い所に悩んでいたら、最近切手を集め始めた弟が買ってきた大量の古い手紙に捺印されているのに気付いた。それは爺さんが書いた熱烈な恋文で、宛名は知らない女性だった。つくづく、俺が酒を飲める年になるまで爺さんが生きていなかったことが悔やまれる。
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第三十九景・風車のある光景

2019-02-14 20:48:50 | 桜百景
たかあきは、風の玩具と桜の幹に関わるお話を語ってください。

。その桜の幹には何故か風車がくくり付けてあって、風が吹くたびにカラカラと音を立てて回っていた。誰が何の為にそんなことをしたのか知る者はいなかったが、誰も風車に触らなかった。ある日、酔っ払いが風車を引き抜いて地面に叩き付けて踏みにじり、ばらばらに壊してしまったが、次の日には新しい風車が回っていて、以来酔っ払いは行方不明だという。
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