カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

第四十七景・雪桜

2019-02-26 19:27:04 | 桜百景
たかあきは、粉雪の初恋と桜の幹に関わるお話を語ってください。

 年を経た桜花は徐々に紅色を失い雪のような白い花弁と変わっていくと彼は言い、結局はそれが別れの言葉となった。多分どちらが悪い訳でもなく、お互いが時間という風に晒されて情熱という色彩を失い、たまたま彼から雪のように冷たい言葉を掛けられて終わったのだ。ただ、それ以来私の桜花は春になろうと一向に咲こうとしない。
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骨董品に関する物語・ミルクガラスの小箱

2019-02-26 19:02:18 | 突発お題

「ミルキーみたいで旨そうな小箱だ」
「言っておくが食えんからな」
「さすがに硝子を食うほど悪食じゃないが、ミルキー食いたくなったから買ってくる」
「ならおれの分も頼む」
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骨董品に関する物語・すみれ色の祈祷書

2019-02-26 19:00:22 | 突発お題

 人生の享楽の殆どを神に捧げて生きる神父様も葡萄酒を嗜むことだけは宗教的に問題ないとされているが、新しく赴任してきた神父様は頑なに葡萄酒を口にせず、代わりに葡萄を思わせる色をした祈祷書の表紙を撫でるだけだった。これは試練なのですと呟く神父様にかつて何処で何をしたかはとても聞けない。
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骨董品に関する物語・星のリキュールグラスとシャンパングラス

2019-02-26 18:57:19 | 突発お題

 祖父の持っているグラスは何故だか果汁を注ぐと酒になるという。葡萄ならワイン、檸檬ならリモンチェッロ、林檎ならシードルという具合にだ。ただ祖父が言うことには、このグラスには絶対に酒を注いではいけないという。当然ながら試してみたら、見事なまでに容赦のない酢と化した。
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