不思議な小説。戦争という地域振興のイベントを計画する二つの町。それを請け負って企画を立て入札に参加する会社。招集され又は志願した町民、そして傭兵として町の戦争に参加する人。
偵察業務者として任命された主人公と共に物語に入って行く読者。主人公が行われている戦争を探すが、どこにも感じられない。でも市の広報には確実に戦死者の数がカウントされて行く。
戦争を委託しているコンサルティング会社がいくつかの案を作成。それを基に町の戦争推進室で協議し町長の所まで上がって行く。決済を取るのに10日ほどかかるという。そう、お役所仕事なのだ。だから、年末年始は休みと決めたら、守らないといけない。もし、奇襲攻撃をしょうと思っても、法律に照らし合わせたり、文書審査があったり時間がかかるのだ。
キチンとした手続きを踏んで行わないと、戦争ではなく、殺人としての扱いになるから。
過去から今でも、世界各地で延々と続くイロイロな形の戦争。戦争であれば、どれだけ沢山の人間を殺しても、それは殺人にはならない。
主人公は「戦争での殺人は殺人としてはあつかわれないんだ」「では命の尊さとは?」「人の死は、いついかなる時でも人の死であり、殺人はどんなに言い換えても殺人でしかないのでは?」と悩む。
主人公も私も最後まで二つの町の戦争が見えなかった。銃の撃ち合いも聞こえず、叫び声も聞こえず、避難民もいない。でも、確実に戦士者がいる。そして、戦死者は急遽出来た町の法令で焼却所で燃やされる。遺体のない葬儀のシーンが出て来る。
戦争を準備し遂行する立場の人が言う「正義とは、その立ち位置によって変わりうるし、変わるべきものです。決して一つではない。社会のための正義、会社のための正義、家族のための正義、自分のための正義、正義の範囲が変われば考え方も変わります」と。
地域振興のために半年間の期間限定で行われた戦争。戦争が終わった町を、この戦争で恋人を失った女性が歩く。相変わらず寂れたシャッター通りを歩きながら戦争事業はどれだけの「振興」をこの町にもたらしたのだろうと考える。そして「あなたは一体何の為に戦ったの」と。
不思議な読後感の本だった。
偵察業務者として任命された主人公と共に物語に入って行く読者。主人公が行われている戦争を探すが、どこにも感じられない。でも市の広報には確実に戦死者の数がカウントされて行く。
戦争を委託しているコンサルティング会社がいくつかの案を作成。それを基に町の戦争推進室で協議し町長の所まで上がって行く。決済を取るのに10日ほどかかるという。そう、お役所仕事なのだ。だから、年末年始は休みと決めたら、守らないといけない。もし、奇襲攻撃をしょうと思っても、法律に照らし合わせたり、文書審査があったり時間がかかるのだ。
キチンとした手続きを踏んで行わないと、戦争ではなく、殺人としての扱いになるから。
過去から今でも、世界各地で延々と続くイロイロな形の戦争。戦争であれば、どれだけ沢山の人間を殺しても、それは殺人にはならない。
主人公は「戦争での殺人は殺人としてはあつかわれないんだ」「では命の尊さとは?」「人の死は、いついかなる時でも人の死であり、殺人はどんなに言い換えても殺人でしかないのでは?」と悩む。
主人公も私も最後まで二つの町の戦争が見えなかった。銃の撃ち合いも聞こえず、叫び声も聞こえず、避難民もいない。でも、確実に戦士者がいる。そして、戦死者は急遽出来た町の法令で焼却所で燃やされる。遺体のない葬儀のシーンが出て来る。
戦争を準備し遂行する立場の人が言う「正義とは、その立ち位置によって変わりうるし、変わるべきものです。決して一つではない。社会のための正義、会社のための正義、家族のための正義、自分のための正義、正義の範囲が変われば考え方も変わります」と。
地域振興のために半年間の期間限定で行われた戦争。戦争が終わった町を、この戦争で恋人を失った女性が歩く。相変わらず寂れたシャッター通りを歩きながら戦争事業はどれだけの「振興」をこの町にもたらしたのだろうと考える。そして「あなたは一体何の為に戦ったの」と。
不思議な読後感の本だった。