今年は桜の花が咲くのが早い。もうコートもいらない程暖かい。私の生まれ故郷の田舎はどうなのだろう。毎年5月の連休には姉と二人で帰っている。ソメイヨシノがまだ咲いてる時もあるが、だいたい八重桜が咲き誇っている。
子供が二人生まれて記念にと八重桜の苗木を田舎に持って行った。始めは庭の花壇の隅に植えられた。大きくなって、ちゃんと花が咲くのかと思う程小さく細くはかなかった。父が裏の田んぼの際に植え替えてからぐんぐんと伸びていった。今は枝をいっぱいに延ばし、その姿は威風堂々と見事である。
昔は田んぼの畦には稲を干すために沢山の木が植えられていた。今は米は天日ではなく電気で乾燥させている。その為、ほとんどのハサ木は切られた。だから、私の八重桜は遠くからでも、よく見える。毎年毎年、姉や両親と見上げて色々な事を語って来た。
今年はその生まれ育った家には誰も住んでいない。近くに住む甥夫婦が時々、風を入れてくれている。私の八重桜を大切に育ててくれた父は去年の暮れに彼岸に旅立った。母は姉に引き取られて愛知県にいる。
毎年毎年5月には姉と二人で田舎に行き、両親が元気な頃は田植えや畑に野菜の苗を植え、花が大好きな母の為に花壇作りをした。それは毎年の連休の行事になっていた。今年はどうしょうかと姉と話し合った。そして、やっぱり行く事にした。
毎年、両親のこぼれるような笑顔が待っていた私が生まれ育った古い田舎の家。今年は迎えてくれる両親はいない。姉と家の中や外の片付けと掃除をやるつもりだ。お墓の掃除もするつもり。
お買い物には車がないとどうしょうもない田舎なので、甥に私と姉用に自転車を買って置いてと頼んである。いつかはこんな日が来るだろうとは思っていたが、考えると辛くなる。都会と違って、夜は真っ暗で静かだ。二人で両親の思い出を語るのは、きっとタオルが離せなくなるだろうな。
今年はもう八重桜も葉桜になっているのだろう。父が桜の根元にたくさんの若芽が出ているので、それを休耕田に植えてたくさんの桜の咲き乱れる下で、皆で桜見をすると言っていた。その父はいなくなったけど、私と姉で何とか植えてみようかなと思っている。
華やかで物悲しい桜。心が未来よりは過去に引き戻されるように舞い散る桜。妖しく魂を惑わす桜。黄泉への扉が開きそうになる桜吹雪。ほんの一時の幻惑。桜、桜・・・。
子供が二人生まれて記念にと八重桜の苗木を田舎に持って行った。始めは庭の花壇の隅に植えられた。大きくなって、ちゃんと花が咲くのかと思う程小さく細くはかなかった。父が裏の田んぼの際に植え替えてからぐんぐんと伸びていった。今は枝をいっぱいに延ばし、その姿は威風堂々と見事である。
昔は田んぼの畦には稲を干すために沢山の木が植えられていた。今は米は天日ではなく電気で乾燥させている。その為、ほとんどのハサ木は切られた。だから、私の八重桜は遠くからでも、よく見える。毎年毎年、姉や両親と見上げて色々な事を語って来た。
今年はその生まれ育った家には誰も住んでいない。近くに住む甥夫婦が時々、風を入れてくれている。私の八重桜を大切に育ててくれた父は去年の暮れに彼岸に旅立った。母は姉に引き取られて愛知県にいる。
毎年毎年5月には姉と二人で田舎に行き、両親が元気な頃は田植えや畑に野菜の苗を植え、花が大好きな母の為に花壇作りをした。それは毎年の連休の行事になっていた。今年はどうしょうかと姉と話し合った。そして、やっぱり行く事にした。
毎年、両親のこぼれるような笑顔が待っていた私が生まれ育った古い田舎の家。今年は迎えてくれる両親はいない。姉と家の中や外の片付けと掃除をやるつもりだ。お墓の掃除もするつもり。
お買い物には車がないとどうしょうもない田舎なので、甥に私と姉用に自転車を買って置いてと頼んである。いつかはこんな日が来るだろうとは思っていたが、考えると辛くなる。都会と違って、夜は真っ暗で静かだ。二人で両親の思い出を語るのは、きっとタオルが離せなくなるだろうな。
今年はもう八重桜も葉桜になっているのだろう。父が桜の根元にたくさんの若芽が出ているので、それを休耕田に植えてたくさんの桜の咲き乱れる下で、皆で桜見をすると言っていた。その父はいなくなったけど、私と姉で何とか植えてみようかなと思っている。
華やかで物悲しい桜。心が未来よりは過去に引き戻されるように舞い散る桜。妖しく魂を惑わす桜。黄泉への扉が開きそうになる桜吹雪。ほんの一時の幻惑。桜、桜・・・。