art de vivre

ワインラヴァーであります。
日々を豊かにしてくれるワインと
お菓子作り、ちくちく手仕事、週末別荘のお話。

いつかはオランダへ

2012-08-03 22:28:00 | etc. ~いろいろと~
…って思ってたんだ。
マウリッツハイス美術館にあるフェルメール作『真珠の耳飾りの少女』を観るために。

門外不出と言われていた余りにも有名なフェルメールの最高傑作。
それが今回日本に来た。
上野の東京都美術館にて「マウリッツハイス美術館展」。
マウリッツハイス美術館改修工事のためだ。
これは絶対に行かなくっちゃ。
これを逃したら、たぶん生きている間に日本に来ることはないだろうからね。
そうするとウン十万円かけてオランダまで行かなきゃなんないもんね。

オットは20年近く前に、ある手術を受け、身障者手帳保有者。
見た目はわたしよりよっぽど元気そうなのだけど…
よって美術展には無料で入場できる。
おまけに介護者1名も。
今日、オットが休みを取ってくれて行ってきた。

平日でもたくさんの人、すごい人気だ。
会場入り口前では入場まで30分待ち。
真夏の日差しの中、上野公園を歩いて来たであろうたくさんの人たちを横目に見ながら、
葵の御紋、身障者手帳所持のため優先して入れた。
心の中で『すみません。』とつぶやきながら…。

肖像画のコーナーのひとつに彼女はいた。
だけどその絵の手前にはディズニーランドの人気アトラクションのように、
くねくねとロープが張られ、みなさんお行儀よく並んでいらっしゃる。
自分の番が回ってくると、ほんの20秒ほどで絵の前から去らなくてはいけない。
でもくねくねと並んでいる間にちらちら見えていたので、
目の前に来た時には、確認作業のような感覚だった。
彼女の何かを言いたげな視線と、少しだけ開いた口元、
ラピスラズリの青、キモノのような服。
真珠と眼と唇に放たれた光の白。
絵の世界で一番美しい少女に会えた喜びは静かに穏やかに心を満たしていったのでした。

フランス語の『une perle(ユンヌ ペルル 一粒の真珠)』という言葉は、
『とても貴重なもの、とか、珍しい逸品』という意味。
多くの銘醸ワインを生み出すブルゴーニュにはコートドールと呼ばれる黄金の丘があり、
その黄金の丘の連なりが首飾りに例えられる。
ちょうどその真ん中に位置するヴォーヌ・ロマネ(かのロマネ:コンティの産地)を、
『une perle』と言って首飾りの真ん中にある真珠に例える。

少女の付けた真珠の耳飾りを観ていると、
この小さな絵自体もフェルメールの作品群の中の『une perle』なのでは、
という想いが重なった。

間で精養軒にてランチを楽しみ、
ついでにすぐそばにある、
国立西洋美術館の「ベルリン国立美術館展」にも行った。
こちらももちろん無料だし、行かない手はないでしょ。
フェルメールのはしご!
こちらは『真珠の首飾りの少女』。
人出は『耳飾り~』ほどではなくスムーズに鑑賞。
窓からの光に浮かび上がる少女が、鏡の前で首飾りを掛けている姿。
穏やかな日常の何気ないひとこまが、少女の幸せを物語る。
オランダが世界の覇権を握っていたこの時代、
人々の暮らしの中にも豊かな幸せが溢れる場面があったのだと。

展覧会では宗教画やデッサン、彫刻作品なども数多く展示され、
西洋美術を堪能した一日となった。

オットよ、体にはくれぐれも気を付けて、
また貴重な美術展を楽しみましょう!!