早稲田にクリストの作品現る?
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というのはもちろん全くのウソです。でも建物がこうしてきれいにすっぽり覆われてしまうと不思議な感じ。丁寧に塔の部分を囲っているので、まるで梱包されているよう。
六月頃から早稲田大学のシンボルである大隈講堂の改修工事が始まった。
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改修が始まり足場で囲まれた大隈講堂
Photo 2006.8.7
大隈講堂は1927(昭和2)年完成で、以来約80年が経過している。
古い建物が比較的多い早稲田大学だが、戦前に建てられた建物は次第に老朽化し、耐震性に不安のあるものも多い。地震が起これば学生や教職員に被害が及ぶ可能性もある。歴史的な建物が建ち並ぶキャンパス環境は、大学のアイデンティティでもあり非常に重要なのだが、災害時の安全確保も必要不可欠なこと。そこで大隈講堂では外観をほぼそのままにしながら、耐震性を強化する工事が行われることになった。ただ今回の改修工事では、講堂としての設備強化も目的とされている。
改修工事の概要は、大学HP内のこちらで。
早稲田大学は2007年に創立125周年を迎える。創設者の大隈重信候が人生125年説を唱えていたことにちなんで、創立125周年が早稲田の最初の世紀と考え、次の世紀へ向けて進んでゆくという意味が込められているそうで、その125周年に間に合わせるべく、改修工事が始められたというわけ。
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ところで、西早稲田キャンパスでは、14号館(A棟)、8号館(B棟)など、この数年のうちで一部建物の建て替えが行われた。この春からは11、12号館の解体が進められ、跡地にはC棟(仮称)が建設される予定である。
この他、正門前に、昨年春には小野梓記念館(27号館・β棟)が、また今春には第二学生会館跡地に大隈記念タワー(26号館・α棟)が竣工した。更に大久保の理工学部では、テニスコート跡地に63号館の建設が始まり、東京メトロ13号線の新駅との地下での接続工事も進められている。
次々に建て替えが行われるので、OBなどからは早稲田はお金持ちだと言われるが、実際はそのOB達からの寄付なしにはできない事業らしい。安全性の問題だけでなく、教育研究環境の向上、少子化の中での優秀な学生の獲得、という大学経営上の課題もあって、建て替えは進められている。
その一方で、大隈講堂とその周辺の建物(大隈講堂、會津八一記念博物館(旧図書館)、一号館(本館)、演劇博物館)については、先にも述べたアイデンティティに関わるものであるとして、保存の方針が決まっている。
個人的には、以前の11号館や、8号館もなかなか良い建物だと思っていたが、次の125年を考えると、全面的な保存は難しいのかなとも思う。都心にキャンパスを残し続けるために、建物の高層化が進められ、ややキャンパス内の空間がせせこましい感じになってしまったのが残念だが、何かを残すには、何かを変えていくしかないのかもしれない。8号館では部分的に外観が復元保存された。また他の建物とタイルやテラコッタなどのパーツのイメージを合わせるような努力もされたため、新しい建物だが、あまり違和感なくキャンパスに熔け込んでいる。
国立の大学の方が、コストや大学経営面では私立大よりやはりおおらかなようで、保存面では有利なような気がする。東京大学の本郷キャンパスなどを訪れると、早稲田などよりも建物密度がかなり低い。キャンパスが早稲田より広いのに学生数は全然少ない。一人あたりの空間がゆったりしているのが羨ましい。
学生の授業料をもとに経営している都心の私立が狭いのは仕方ないんだろうけど。
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