'07/04/04の朝刊記事から
海自二曹情報持ち出し イージス中枢秘密も
保護法違反で立件へ
海上自衛隊第一護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」乗組員の男性二等海曹(33)がイージス艦などに関する情報を隠し持っていた問題で、情報の中に極めて秘匿度が高い「イージスシステム」の中枢情報が含まれていたことが3日、神奈川県警などの調べで分かった。
米海軍が厳重抗議
県警は、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法が規定する「特別防衛秘密」に該当すると判断、同法違反(探知、収集、漏えい)容疑での立件に向け関係機関と協議を始めた。
イージスシステムは世界最高水準の防空、迎撃システムで、ミサイル防衛(MD)でも中心的な役割を果たしており、漏えいの事実を把握した米海軍は海自に厳重に抗議。
日米安保体制に影響を与える可能性も出てきた。
二曹はこれまでの県警の任意聴取に対し、外部への情報提供は否定しているが、米国は、同盟国のうちごく一部にだけ供与しているイージス艦の”心臓部”の情報が持ち出されたことに衝撃を受けている。
県警などのこれまでの調べでは、イージス艦に関する情報を記録したハードディスク(HD)は、県警が今年1月に二曹の妻=中国籍=に対する入管難民法違反容疑で二曹の自宅を家宅捜索した際に、護衛艦のレーダーのデータや通信関係の周波数などを記録したフロッピーディスクなどと共に発見、押収した。
県警などが、HDに記録された情報を詳しく分析した結果、イージス艦の中枢システムの概要が把握できるデータなどが含まれているのが分かり、棒絵賞も確認した。二曹は、白根とは別の艦艇に乗り組む海曹クラスの同僚隊員から入手したとされるが、二曹も同僚もこうした情報に職務上接する権限が無いため、県警はさらに別の幹部隊員がかかわっている疑いが強いと見て入手経路や目的を調べている。秘密保護法は、日米相互防衛援助協定に基づき米国から供与された船舶、航空機、武器などの構造や性能などを「特別防衛秘密」と規定。不当な方法で探知・収集したり、業務で取り扱う者が、漏えいするなどした場合、10年以下の懲役としている。
イージス艦
高性能レーダーと大型コンピューターを組み合わせた米海軍開発の防空システムを搭載した艦艇。
イージスはギリシャ神話に登場する「万能の盾(イージス)」が語源で、敵のミサイルや航空機などを瞬時に探知、識別し、武器を選択して10以上の目標を同時に撃ち落すことができる。
弾道ミサイル防衛(MD)の柱の一つに据えられている。
米国は最高レベルの軍事機密であるイージスシステムの頭脳部分を「ブラックボックス」として、同盟国にも明らかにはしておらず、日本側は整備や改修などはできないものの、ブラックボックス以外の重要情報は日本側にも提供されている。