「14歳からの靖国問題」(ちくまプリマー新書、2010年7月)を読んだ。大学教授
の著者、小菅信子さんが14歳のお嬢さんとの話し合いを通じて「靖国」をめぐる
いろいろな問題について著者の疑問、考え方をまとめた書である。
戦後生まれの著者だが、歴史学者として靖国神社の誕生から今までの歴史を
多角度から検証し、同時にかって著者が英国に滞在中体験した”戦争と和解”の
問題から入って、諸外国での戦死者への考え方、弔い方にもふれている。
著者は靖国問題の解決には戦死者ひとりひとりとの対話が必要であり、そのた
めには戦死者が生まれた時代の理解、歴史の学習が大切だと説く。総理が派手
に靖国神社に参拝したり、新しい追悼施設を造る問題ではないという。
興味深いのは、戦後昭和31年、自民党の第2代総裁として総理になったが、病気
のため2か月で辞任した石橋湛山氏が、敗戦直後の20年12月”靖国神社を廃止
奉れ”という論文を発表していることだ。石橋氏自身、息子の一人を戦死させている
が、氏の靖国廃止論の根拠は、かいつまんでいえば、神社を存続すれば、後世の
国民は、ただ屈辱と怨恨の記念として、永く陰惨の跡を留め、国家の将来にとって
歓迎すべきではない、というものだ。
65回目の敗戦記念日がやってくる。またぞろ政治家の参拝の是非をめぐって賛否
両論がマスコミを賑あわせるが、あの戦争時代を体験した僕としては、天皇家が一
日もはやく靖国神社を参拝できるような環境を整備すべきだと思うのだが。
の著者、小菅信子さんが14歳のお嬢さんとの話し合いを通じて「靖国」をめぐる
いろいろな問題について著者の疑問、考え方をまとめた書である。
戦後生まれの著者だが、歴史学者として靖国神社の誕生から今までの歴史を
多角度から検証し、同時にかって著者が英国に滞在中体験した”戦争と和解”の
問題から入って、諸外国での戦死者への考え方、弔い方にもふれている。
著者は靖国問題の解決には戦死者ひとりひとりとの対話が必要であり、そのた
めには戦死者が生まれた時代の理解、歴史の学習が大切だと説く。総理が派手
に靖国神社に参拝したり、新しい追悼施設を造る問題ではないという。
興味深いのは、戦後昭和31年、自民党の第2代総裁として総理になったが、病気
のため2か月で辞任した石橋湛山氏が、敗戦直後の20年12月”靖国神社を廃止
奉れ”という論文を発表していることだ。石橋氏自身、息子の一人を戦死させている
が、氏の靖国廃止論の根拠は、かいつまんでいえば、神社を存続すれば、後世の
国民は、ただ屈辱と怨恨の記念として、永く陰惨の跡を留め、国家の将来にとって
歓迎すべきではない、というものだ。
65回目の敗戦記念日がやってくる。またぞろ政治家の参拝の是非をめぐって賛否
両論がマスコミを賑あわせるが、あの戦争時代を体験した僕としては、天皇家が一
日もはやく靖国神社を参拝できるような環境を整備すべきだと思うのだが。