「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         心配なアラブ世界のドミノ現象

2011-01-30 08:46:04 | Weblog
このところアラブ世界の様子がおかしい。チュニジアの政変に触発されたのであろうか、今度はエジプト全土でムバラク政権に対する反政府デモが大荒れに荒れ、すでに100人もの死者を出している、同じような反政府デモはイエメンでも起きており、アルジェリア、ヨルダンでも不穏な動きがあるという。これが他国にも飛び火して、ドミノ現象を起こさなければよいのだがー。

自分のことで恐縮だが、僕は1956年11月の第二次中東戦争(スエズ戦争)から1968年の第三次中東戦争(六日戦争)までの10年余、新聞社の外信部で取材している。この時代もアラブ世界は流動的で、エジプトがシリアとが合邦したり離れたり、イラクとイエメンではクーデターで王国が倒れている。それに慢性的なパレスチナ問題を抱えて、レバノンでは年中行事のように政変が起きていた。

今回の一連の騒ぎの"キー・ワード”は長期政権だという。ムバラク大統領はもう30年ちかく政権の座にある。イエメンのサレーハ政権も20年だという。長期政権は一見安定しているようにみえるが、やはり長い間に国民の不満もたまってくるのだろう。過去の世界の歴史をみてもポルトガルのサラザール政権(36年)がよい例である。最近ではインドネシアのスハルト政権がそうであった。"開発の父”と称えられながら31年は長すぎた。追われるように大統領の座を去った。

エジプトはアラブ世界では大国であり指導的な国でもある。パレスチナ問題は、僕が現役だった半世紀前と同じで解決はみていないが、僅かにエジプトの妥協と譲歩と仲介もあって解決の方向へは向かっている。アラブ世界の安定のために一日も早い解決を期待したい。