「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          ある軍医さんへの弔辞

2009-01-17 05:23:27 | Weblog
F先生、本当に驚きました。この正月の2日に先生からお元気な声の電話を頂戴し
来日中のインドドネシア人看護師、介護師の問題について建設的なご意見を賜っ
たばかりでしたのに。

私は先生の人生の一つの横軸をなすインドネシアとの友好親善面で教えを受けた
一人です。ご存知の方が多いと思いますが、先生は戦争中インドネシア・セレベス
島のソンデルという町に陸軍の軍医として駐屯していました。わが国初めての海軍
落下傘部隊が降下したメナド近くの静かな綺麗な町です。

私も数年前先生の紹介で、この町を訪れましたが、私が驚きかつ尊敬したのは戦
争終わって64年にもなりますのに、戦争中、先生の手術を受けて一命をとりとめた
患者や巡回診療で知り合った町民たちとのお付き合いが続いていることです。その
一人で、現在、早稲田大学に留学中のお孫さんからも私宛に弔辞のメールが届いて
います。

先生は戦後、ご本業の医学研究のかたわら独学でインドネシア語の勉強を続け、3
年前のスマトラ大津波の時には、現地に派遣された医療救助隊へ先生が編纂された
「日イ医療辞典」が届けられ役にたちました。先年、先生は長年にわたる日イ友好親
善でインドネシア政府から「Bintan Jasa Pertama」という最高位の勲章を受けています。

92歳という長寿のため、かっての戦友もすでに他界されている方が多く、この式に参列
できないのは残念ですが、どうぞあちらの世界でも戦友や町民たちと一緒にソンデル
の町を思い出し、賑やかにミナハサの歌を楽しんで下さい。

                           合掌

(先生、昨夜のお通夜には(財)日本インドネシア協会会長、福田康夫前首相も列席して
ご焼香して頂きました)





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2 コメント

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素晴らしい軌跡 (chobimame)
2009-01-17 07:38:59
こう方にこそ国民栄誉賞を贈るべきだと思います。
私は先生のことはkakekさんのお話を通してしか存じ上げませんが、激動の時代を全力で生きておられた素晴らしい方だと思い、またインドネシアにおける先生の功績は素晴らしいと思います。
またひとつ大事なものや生きた歴史が消えるようで実に寂しく悲しく思います。
先生のご冥福を心よりお祈りします。
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戦争の最中でも (kakek)
2009-01-17 16:58:09
chobimamae さん
兵隊にやる薬はあっても土人にやる薬はない、といった時代です。それに内科医が外科の手術をしています。そして戦後も交流が60余年続いています。東北大学医学部の名誉教授です。
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