ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

メルヒオールが歌うワーグナー「ワルキューレ」より

2011年02月25日 | オペラ
Lauritz Melchior as Siegmund "Winterst醇вme wichen..."


高校生の時、ふとしたことで古いレコードを図書館で聴いた。
ワーグナー「タンホイザー」や「ワルキューレ」だった・・・そのテノールはメルヒオール、戦前ワーグナー歌手として第一人者だった。

ヘルデン・テノール(英雄テノール)という言葉を知ったのもその時。
そしてワーグナーのオペラの歌い方を直感的に知ったような気がした。包み込むような大きさだった。

また、ローレンツというテノール、この人はナチスのハーケンクロイツのもとで歌った悲劇のテノール、驚くほど素晴らしく、彼を惜しんだ。
しかし、私はメルヒオールの歌い方に、郷愁を感じた。

それは野口さん(父より6歳年上の大学で「同級生」だった友人)が遊びに来た時、「タンホイザー」の一節をドイツ語で歌ったその歌い方。野口さんはメルヒオールのレコードを聴いていたんだ、と思った。(直感は正しかった)

野口さんは家が貧しくて小学校卒業後、丁稚をしていたが、美人のお姉さんが芸者をして学費を出し、またクラシックの演奏会に誘い、レコードを買って与えていたらしく、ドイツリートなど、原語で歌っていた人だ。(そのことは以前に書いたが)

私にピアノ伴奏をさせてワーグナーまで歌った。
父は軍歌と演歌だけ、野口さんはお酒に酔ったら歌を歌ったが、それがどうも本格的なイメージがあった・・・。もちろん素人だが・・・本職は弁護士だった。

メルヒオールの古い録音を聴いた時(それにこの歌い方は戦前の古い歌のスタイルだ)なぜか野口さんを思い出した。郷愁、というのはそれだった。
 

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