バッハの旋律の特徴に「二声部が一つにまとめられた旋律」が頻出することがある。これはそのつもりになっていれば良いだけのこと。しかし時々、二つや三つの声部を弾いている意識が薄い演奏も見かけるので、改めて注意を促したい。
プレリュードの場合は、3小節目からすでにそれは始まっている。
この3小節目のような音型を弾く技術を、フレッシュは「オンデュレー」(波状運弓)と呼んでいる。この「オンデュレー」や「バリオラージュ」(一方が開放弦のオンデュレー)が出てきた場合、一方の音は音程が動き、他方は動かない。こういう時は常に動く音の方を強めに演奏しなければならない。
プレリュードの場合は、これだけを注意すれば、声部の弾き分けに関しては事足りる。