バッハの記事は終わっても良かったのですが、バッハの全作品に通じることを一つだけ追記しておきましょう。
バッハは、ほとんどの部分が拡大する方向に向かう音楽で、鎮静していくものは大変少ないです。
そうすると、音量的にも常にクレッシェンドをしたくなるし、フォルテで弾きたくなるでしょう。
これを感覚的に処理すると、際限なくクレッシェンドをしなければならなくなります。もちろんそれは無理です。
どうすれば良いか?
無伴奏曲の場合、三重音、四重音はフォルテでしか演奏できないし、他にもフォルテ以外はふさわしくない箇所はあります。一方、フォルテでもピアノでも可能という箇所もあります。そこが表現のポイント、つまり、ピアノで表現できる部分は極力ピアノで表現する、ということに尽きるでしょう。
書いてしまうと簡単なことですが、バッハを弱音で演奏するのは、意外と意志の強さがいるもので、そう簡単ではありません。よく計画を立てて演奏に臨んでいただければ、と思います。