井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

魔王の宮殿

2014-12-28 23:42:24 | まち歩き

グリーグのペール・ギュント組曲の中の1曲に「山の魔王の宮殿」というのがあるのだが、それとは関係ない。

ヴァイオリン界のごく一部(cf. ビバ!おけいこヴァイオリン)に伝わる「魔王の宮殿」があったのだ。先日、ちょっと時間があったので、そこを30数年ぶりに訪ねることを思い立った。

わざわざ行かないと全く行く機会がない「成城学園」駅に向かった。

最近「副都心線」などという変な路線ができたお陰で、横浜からほとんどの場所に乗り換えなしで行けるようになった。その恩恵を受けていない訳ではないが、あまり受けていない感じがするのが小田急と京王。小田急も私にとっては、結局わざわざ乗らないと乗れない私鉄であった。

20数年ぶりに乗る小田急、最近はどこの私鉄も地下鉄になって、味気ないことおびただしい。そして、何と複々線になっていた! (そういえば、そんなニュースも聞いたような気がする)

 余談だが、私は鉄道建設のニュースを聞いても、それが実現するとはどうしても思わない思考回路になってしまっている。それは鉄ちゃんだった小学生の頃、全国を新幹線が走り回る計画とか、昭和60年には地下鉄はこうなるという計画が発表され、ワクワクしていたら、オイル・ショック! それ以降は絵に描いた餅状態。

地下鉄の方は15年遅れくらいで実現したけれど、新幹線なんてご承知の通り。1972年、田中角栄内閣時代の発表が本当ならば、1985年には北海道新幹線やリニア・モーターカーは実現していることになっている。

リニア・モーターカーはいつできるんでしたっけ。確か気の遠くなるような先の話だったよね。

それだけに、本当に工事をしてしまった小田急や東急には逆にかなりびっくりしてしまう。

成城学園駅も地下にもぐっていた。地上はショッピング・モールである。いやはや、もう全く昔とは別の街。東京はこれが当たり前、というのになかなかついていけない私であった。

さて、目指すは魔王の宮殿だ。

しかし、30年も経つと全く道を覚えていなかった。30分くらいウロウロしたのだが、わからなかった。既に取り壊されたかもしれない。

駅に近い場所にはいくつかコイン式の駐車場があった。土地の値段が高くて買い手がいないと駐車場。

昔はこんなことは無かった。俳優さんも多く住む、高級住宅街だった。(それは今でもそうだけど)

魔王の宮殿でレッスンが終わるとホッと一息、道すがらの喫茶店に入った。俳優の有島一郎の経営している店だった。夏だったので、アイス・コーヒーを頼んだ。コーヒーのグラスが斜めに立っている、独創的なグラスであった。

そして、そのとなりに透明な液体を入れた小さなグラスも供された。何だこれは?

しばらく眺めて考える。もしかして・・・うん、やっぱりそうだ・・・そうに違いない。

勇気を出してコーヒーに入れてみたら、コーヒーが甘くなったような気がした。

これをガム・シロップと呼ぶ、と知ったのは、さらに何年か経過して後のことだ。当時の田舎の高校生はみんな絶対「ガム・シロップ」なんて知らなかったはずだと断言したい。

喫茶店でまたもや緊張する街、それが私にとっての成城学園だった。


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