その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロンドン交響楽団のフィオナ嬢は・・・?

2011-12-16 23:59:43 | コンサート (in 欧州)
 私の数少ないブログ友達であるMiklosさんは、筋金入りのフィオナちゃんウォッチャー(フィルハーモニア管第2ヴァイオリニスト。たとえばの記事はこちら→)ですが、今日は、私の独断によるロンドン交響楽団の「フィオナちゃん」をご紹介いたします。

 今シーズンは、週末に沢山演奏会をやってくれるロンドン交響楽団(LSO)のコンサートばかりに足を運んでいるのですが、なぜかLSOのチェロチームにはとっても女性奏者が多いです。名簿によるとチェロ奏者は10名が登録されているのですが、そのうち名前で判断すると7名が女性。実際、コンサートに行っても、やたら女性チェリストが目立ちます。

 その中でも、私の注目はミナ嬢(Minat Lyonsさんなのですが、何と発音するかわからないので、ミナ嬢としておきます)。西洋系の美人タイプには全く関心がない私なのですが、彼女の中東風の端正な容姿にはしびれます。トルコ系の方かなあと思っていたのですが、エルサレム生まれのロンドン育ちとのことです。いつも後ろのほうに座っているので、チェロが右手前方に位置する以外は見えないことも多いのが残念なのですが、いつもステージで見かけるときの、姿勢の良さとたたずまいの清楚な印象は、とっても惹かれます。ソロの演奏を聴いたことが無いので、どんな演奏をするかは分らないのですが、チェロを弾く姿は、姿勢が崩れることなく、姿が美しいので、ついつい目を向けてしまいます。私的にとってもポイント高し。

(開演前の練習中のミナ嬢)


(終演後の内田光子さんに拍手するミナ嬢)


 あと、もう一人をご紹介。デルフィン嬢(Delphine Biron)です。この方は、今シーズンから見かける人なのですが、プログラムの正団員のリストには名前が載っていないので、きっと1年限りの交換団員とか何でしょうか?フランス人のようです。決していわゆる美人ではないですが、いつも気持ちが入った演奏姿にとっても惹かれます。「そこに何が書いてあるの?」と訊きたくなるぐらい、楽譜や指揮者を凄い強い視線で穴の開くほど見つめたり、熱い音楽には情熱的に、楽しいところでは心から音楽を楽しんでいるようで、そして葬送行進曲のようなところでは泣き出さんばかりの表情で、気持ちをチェロにぶつけているように見えます。ミナ嬢のような端正な美しさではないのですが、演奏姿そのものが見るものに訴えます。

(中央がデルフィン嬢)


(終演後。左から2人目)


 いったい、何を見に行っているのかと叱られそうですが、やっぱり演奏に限らず、人が真剣に仕事をしている姿と言うのは、美しかったり、迫力を感じたりするわけで、CDやDVDでなくて、演奏会に行くというのは、そういった空気を丸ごと吸ったり感じたりすることに楽しさがあると、自分では思っています。

 と、最後はちょっとまじめにまとめてみました。

コメント (4)
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ロンドン交響楽団 / ジョン・エリオット・ガーディナー / ベートーベン交響曲第9番 ほか

2011-12-16 00:29:24 | コンサート (in 欧州)
 もうこちらに来て丸3年になりますが、初めて年末の第九なるものを聴きに行きました。イギリスでは年末にベートーベンの第9交響曲を演奏する慣習は全くないのですが、今年はたまたまプログラムの都合上、うまく当たったようです。LSOとジョン・エリオット・ガーディナーによる第9は2010年2月に聴いています(こちら→)が、プログラムはその時と全く同じで、交響曲1番との組み合わせ。しかも、合唱のモンでヴェルディ合唱団も同じで、独唱者もテノールを除いては同じというデジャブ・コンサートです。

 背が高く、難しそうな顔をしたガーディナーは、威圧感というか威厳たっぷりで、つたが絡まる歴史的な建物に囲まれた大学の研究室で、文献を読み込んでいる姿がぴったりです。なので、私は勝手ながら「教授」と呼んでいます。

 冒頭の交響曲第一番。音の強弱が明確でメリハリの効いた小気味のよい演奏でした。ティンパニーのアクセントが良く効いていて、気持ちの良い演奏です。

 休憩後の第9。前回はその快速演奏に肝を抜かれましたが、今回もスピードは健在でした。凄いスピードで畳み掛けるような勢いで音楽が進んでいきます。第1、第2楽章はそのスピード感が、リズムと勢いを作っています気がします。ピリオド奏法による演奏は、無駄な虚飾がなく、筋肉質な印象です。

 そして、最終楽章も早いペースの筋肉演奏は続いたのですが、ちょっと残念だったのは、独唱者と合唱。独唱者はオーケストラの後方、合唱の前に位置していて、あくまでも合唱の一部という位置付けなのでしょうが、今回は存在感を殆ど感じませんでした。また、合唱も、教授自らが1964年に結成したモンテヴェルディ合唱団で、前回の第9に加えて昨年夏のプロムスでも素晴らしい合唱を聞いているのですが、今回のパフォーマンスはもう一つ。前回は少数精鋭ながらもそのパワフルな歌唱に圧倒されたのですが、今回は、ちょっとパワー不足を感じてしまいました。オーケストラに負けてしまった感じです。

 演奏のほうは、最後のフィナーレに向かう激流は、凄まじいものでした。普段から音が大きいロンドン響ですが、その彼らが必死の形相で、ガーディナーの煽りについて行きます。いつもより更に大きい音が出ていました。

 結局、手持ちの時計で1時間3分。この快速第9は2回目なのでもう慣れましたが、比較的定型的な演奏を聞き慣れている日本人には本当に衝撃的な演奏です。好きか?と問われれば、正直言うと、好みとは言い切れないないのですが、間違い無く記憶に残る演奏なのです。「やっぱり、年末には第9」としみじみと思った次第です。


(カメラを忘れて、携帯撮影)

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London Symphony Orchestra / Sir John Eliot Gardiner
Beethoven Symphonies No 1 and No 9 ('Choral')
15 December 2011 / 19:30
Barbican Hall

Beethoven Symphony No 1
Beethoven Symphony No 9 (‘Choral’)

Sir John Eliot Gardiner conductor
Rebecca Evans soprano
Wilke te Brummelstroete mezzo-soprano
Michael Spyres tenor
Vuyani Mlinde bass-baritone
Monteverdi Choir
London Symphony Orchestra

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