その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

BBC交響楽団/ エドワード・ガードナー/ ベルシャザールの饗宴

2011-12-11 23:06:46 | コンサート (in 欧州)
 イングリッシュ・ナショナル・オペラ(ENO)の音楽監督を勤めるエドワード・ガードナーは、私の今注目の指揮者。彼が振るENOは、音が生き生きとして、活力がみなぎっている。パッパーノがロイヤルオペラを振ると音が全然違うのと同じ。今年の夏にはプロムスでラストナイトの指揮をやったぐらいだから、業界でも期待の若手なのだろう。今日はそのガーディナーがBBC交響楽団を振るということでバービカンに足を運んだ。プログラムには1曲も知っている曲がなく、行く前はかなり不安だったのだが、終わってみれば素晴らしいコンサートだった。

 冒頭のブリテンのシンフォニア・ダ・レクイエムは、もともとは日本政府が皇紀2600年を記念して委嘱した曲だったとのこと。ダイナミックな曲。出だしのティンパニーの連打ではじまり、途中、感傷的なメロディーも交じり、最後まで聴くものをそらさない。1曲目から、いきなり全力投球の演奏だった。

 続いての、シベリウスの短い歌曲を3つ。1、2曲目は、とても感傷的なメロディ。3曲目はとてもドラマチックな音楽。バリトンのジェラルド・フィンレーの落ち着いた安定感のある声がホール中に響く。

 休憩後は、旧約聖書の『ダニエル書』にあるベルシャザールの酒宴を題材にした2曲。初めは、シベリウスがもともとは劇用の音楽として作曲したものを、組曲として編曲したもの。美しい音色の音楽でしみじみと聴き入る。

 そして、圧巻は最後のウォルトンのオラトリオ。インディジョーンズの映画音楽と言ってもそのまま通用しそうな、勇ましく雄大な音楽。前曲のシベリウスの組曲と同じ題材を元にしているとはとても思えない音楽だった。主役は、迫力のコーラスとバリトン独唱。混声合唱はボリュームもハーモニーも素晴らしい。フィンレーの独唱も堅実で、充実していた。BBCSOも切れと勢いのある素晴らしい演奏で聴かせてくれた。途中、3階席からのブラス部隊も加わって、ホール全体がスペクタクルな歴史空間に変っていたような気がした。久しぶりに鳥肌が立つ演奏で、圧倒されまくった30分だった。。聴衆は皆さん同様の思いだったらしく、拍手もものすごいものだった。

(バリトンのジェラルド・フィンレー)


(合唱指揮とガードナー)


(一部しか見えませんが、コーラス)


 ガーディナーは初めて近くで見たが、えらくカッコイイし、指揮ブリもカリスマティックなところがある。これからも要マークだと思う。

(エドワード・ガードナー)



Belshazzar’s Feast
BBC Symphony Orchestra and Symphony Chorus
10 December 2011 / 19:30
Barbican Hall

Britten Sinfonia da Requiem
Sibelius Songs
Sibelius Belshazzar’s Feast – Suite
Walton Belshazzar’s Feast

BBC Symphony Orchestra
Edward Gardner conductor
Gerald Finley baritone
BBC Symphony Chorus
コメント (2)
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