その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

NHK交響楽団/ スラットキン/ ショスタコーヴィチ交響曲 第7番ほか

2012-09-29 05:48:37 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 半期の〆の時期ということもあり、大事な仕事が並行して走り、今週はハードな毎日が続きました。久しぶりの日本的長時間労働で、もう昔のような体力がないことを実感。ちょっと、それはそれで自分としては物悲しいものがあります。来週後半には一段落つきそうなので、もう一息です。

 今週の仕事の仕込みで先週土曜は休日出勤。でも、思いの外、早く済んだので当日券狙いでN響演奏会に開演時間ギリギリに駆け込みました。1500円の3階自由席です。

 3階の自由席ゾーンは貧民席などと揶揄されることも多いですが、左右サイドは前にせり出しているので、思いのほか舞台にも近く聴き易いです。正直、その前の週に行った2階席中央奥(5500円!)よりも響きは良いと思ったぐらい。同じ自由席ゾーンでも中央ゾーンは3階席の奥になるので、かなり舞台から遠くなりますから、自由席券の場合はサイドの方が良いです。

 さて、さて、この日の演奏会ですが、飛び込みで行った割には大当たり。指揮はN響ではおなじみのアメリカ人指揮者スラットキンですが、プレヴィン先生の前週のコンサートと全く引けを取らない音楽を聴かせてくれました。

 1曲目のリャードフ/8つのロシア民謡は、私は初めて聞く曲ですが、耳に優しい抒情性豊かな曲です。N響のアンサンブルも美しく、8つの小品を楽しみました。

 そして休憩挟んだ2曲目は、ショスタコーヴィチの交響曲 第7番「レニングラード」。生で聴くのは、2年前にローマでキリル・ペトレンコ指揮のローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団で聴いて以来、2回目です。

 熱演でした。弦は相変わらず美しく、管とのバランスもすばらしかった。第一楽章や第四楽章のクライマックスは迫力満点です。スラットキン氏は派手なところはないですが、スマートかつ明確に音楽の輪郭を示してくれるので、安心して聴けます。1曲目とは逆に、抒情性というよりも音楽の構造や機能を前面に出した音楽でした。

 敢えて注文をつけるとすると、ちょっとスマートでまとまりすぎりぐらい均整が取れていたことでしょうか。タコはCDは持ってないし、生でもそれほど聞いてないのですが、ちょっとぐらいバランスが崩れても、もっと荒々しさがあっても良い気がします
。これはスラットキンの芸風なのかもしれません。西欧帰りの値打ちこき風に聞えると本意ではないのですが、2回N響を聴いての感想は、良い演奏だなあ~とは思うのだけど、ハッとするような興奮や「そう来るか~」というような驚きは少ないです。これからを期待したいです。

 総体としてはとっても満足のコンサート。これで1500円はかなりのお値打ちです。


 ※どうでもいいことですが、昨日か一昨日前の日経新聞の夕刊に先々週のプレヴィン先生とN響のマーラー第9の批評が載っていました。べた褒めだったので、同じ感想だった私も嬉しかったのですが、新聞が2週間前のコンサートの批評載せるって、ちょっと遅すぎやしませんか?



NHK交響楽団 第1734回 定期公演 Cプログラム
2012年9月22日(土・祝) 開演 3:00pm
NHKホール

指揮:レナード・スラットキン

リャードフ/8つのロシア民謡 作品58
ショスタコーヴィチ/交響曲 第7番 ハ長調 作品60「レニングラード」
コメント (4)
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