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英ガーディアン紙の1964年以降「イギリス映画トップ25」(こちら→)の17位にランクインしている映画ということで、TSUTAYAで借りてきました。2006年のイギリス映画です。
あらすじは・・・
「トゥエンティーフォー・セブン」のシェーン・メドウス監督が、自身の体験をもとにサッチャー政権下のイギリス郊外に住む若者たちを描いた青春映画。1983年のイギリス中北部、父親をフォークランド紛争で亡くした少年ショーンは町にたむろするスキンヘッズの不良たちと出会う。友達のいなかったショーンは彼らと心を通わせていくが、やがて過激な愛国主義の男コンボの登場で仲間たちは分裂していく……。」(映画.comから引用)
非常に印象的な映画でした。映像はドキュメンタリー映画のように、若者たちの行動がロングショットで淡々と描かれます。カットによる誇張が少ないので、映像からのリアリティが抜群です。
その抑制された映像のせいか、描かれる不良グループの中の少年、若者達に下手な感情移入が抑えられているのも、リアリティを増しています。嫌悪感も湧かなければ、安っぽい同情心や共感も湧きません。ただ、ただ、ある時代の、ある地方に、こんな若者たちがこんな生活をしていたというのを切り取ったという感覚です。
1980年代の不況に苦しむイギリスの空気を知ることもできます。やり場のない若者たちのエネルギー、不況が生む排外的ナショナリズム、フォークランド紛争の受け止め。同じ時代を描いた『リトル・ダンサー(ビリー・エリオット)』や最近では『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(The Iron Lady)』とは違った社会集団からの視点から見る、サッチャー政権時の英国社会のリアリティです。
主人公の少年ショーンを演じたトーマス・ターグーズが素晴らしい。不良グループとの出会いから仲間入りのプロセスを通じて、一人の少年の精神的、行動的な発達過程をうまく表現しています。彼が可愛らしいのが、この映画の救いと言えば救いです。他の俳優陣も好演で、いわゆる有名俳優はいなさそうなのですが、それも却って映画のリアリティを高めます。
また音楽(歌)が映画の雰囲気と100%マッチしていて、印象に残ります。80年代のストリートミュージックからの構成とのことですが、音楽が映画の雰囲気を支えています。
スキンヘッドの若者たち、暴力的なシーンなど、万人受けする映画ではありませんが、私には、ずっしりと心に残る映画でした。
※必ずしも映画の雰囲気をうまく表わしているとは言えませんが、予告編はこちら→
キャスト - THIS IS ENGLAND
出演 トーマス・ターグーズ (Shaun)
スティーブン・グラハム (Combo)
ジョー・ハートリー (Cynth)
アンドリュー・シム (Milky)
ヴィッキー・マクルア (Lol)
ジョセフ・ギルガン (Woody)
ロザムンド・ハンソン (Smell)
アンドリュー・エリス (Gadget)
ペリー・ベンソン (Meggy)
ジョージ・ニュートン (Banjo)
フランク・ハーパー (Lenny)
スタッフ - THIS IS ENGLAND
監督 シェーン・メドウズ
脚本 シェーン・メドウズ
製作 マーク・ハーバード
撮影 ダニエル・コーエン
プロダクション・デザイン マーク・リーズ
音楽 ルドヴィコ・エイナウディ
編集 クリス・ワイアット
衣裳デザイン ジョー・トンプソン
キャスティング デズ・ハミルトン
ルイーズ・メドウズ