その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響/ 準・メルクル指揮/ バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(ラヴェル)ほか

2013-02-16 21:59:02 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 今日も冷たい風が吹き付けるものの、抜けるような青空でした。午前中出勤し一仕事した後、NHKホールへ。N響とはたびたび共演している準・メルクルさんが指揮です。

 メルクルさんは最近どうなんでしょう?十数年前、N響に登場したての頃は、若手の星的なイメージで、これから世界的に大ブレイクするのでは?と期待されました。最近はちょっと目立ち度が低い感じがするのですが、私のフォロー不足でしょうか?メルクルさんの指揮は、私は2009年手兵リオン管弦楽団と諏訪内晶子さんとBBCプロムスへの出演以来です。今回は、フランスもののプログラムです。

 メルクル人気でしょうか?アクセルロッドさん、ウルフさんの時は、結構空きが目立った3階自由席も今日はかなり埋まっていました。

 1曲目はサン・サーンスのチェロ協奏曲第1番。生で聴くのは初めてですが、耳に優しい美しいメロディで、すんなり入って行けます。ただ、それが裏目に・・・。冷たい風で冷えた体が暖かいホールで弛緩し、このチェロの調べ。曲が始まって5分も経たずに撃沈してました。ダニエル君、ゴメンナサイ。

 ダニエル君はイケメン風の若手チェリスト。今日はオペラグラスを忘れてしまったので、3階席からだと顔や表情まではわかりません。ウトウトの中で聴くチェロは美しく、深い。こんな贅沢な時間はないと断言できます。アンコールではブリテンの無伴奏チェロ組曲第2番から第一楽章を弾いてくれました。

 休憩後はラヴェルの「ダフニスとクロエ」の全曲版。全曲版は2009年にゲルギエフ指揮のロンドン交響楽団、2011年にプロムスでドナルド・ラニクルズ指揮のBBCスコティッシュ管弦楽団で聴いて以来、3回目です。

 正直言うと、最初はちょっとエンジンのかかりが悪いような気がしました。曲の持つ緊張感や色彩感があまり感じ取れなかったからです。でも、曲が進むにつれて、暖まってきたのか、調子が出て、第3部に入ると聴き応えのある素晴らしい演奏だったと思います。弦のアンサンブルはいつもながら美しいし、フルートの独奏も聴き惚れます。フィナーレの(酒神バッカスの踊り)で最高潮に達して、爽快なエンディングでした。国立音大の合唱陣は美しかったですが、ちょっと平板だったかなあ~。

 バレエ音楽を聴くとやっぱりバレエが観たくなりますね。プログラムの「フィルハーモニー」で詳しめに物語と音楽を解説してくれたおかげで、バレエシーンを想像しながら音楽を聴くと言う楽しみが体験できましたが、一度バレエも観たいです。

 終演後の拍手は熱狂的というものでは無かったですが、大きく暖かい拍手でした。メルクルさんが聴衆からも好かれているのが伝わって来ます。誠実で、大らかなメルクルさんの指揮ぶりは、N響のスタイルにもあってる気がします。むしろ、ちょっと合いすぎて、刺激度が少ないかなあ。

 ホールを出てもまだ明るく、陽がコンサートごとに長くなっていくのが、季節が春に向かっていることを感じさせます。晴れやかな気分で渋谷の雑踏に踏みこんでいきました。


<アンコール曲>


第1749回 定期公演 Cプログラム
2013年2月16日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

サン・サーンス/チェロ協奏曲 第1番 イ短調 作品33
ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」

指揮:準・メルクル
チェロ:ダニエル・ミュラー・ショット
合唱:国立音楽大学
コメント (4)
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