その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

若杉 冽 『原発ホワイトアウト』 講談社

2014-05-15 22:42:38 | 


 現役の官僚が原発の裏事情を告発した本ということで評判になっていたので、図書館で借りて読んでみました。

 原発が政・官・財の其々の利権が絡まって、日本社会のシステムとして機能する構造を描くフィクッションです。再稼働に向けた様々な思惑、工作活動などはノン・フィクッションなどでもレポートされていることですが、フィクッションの形を取るとノン・フィクションとは異なった「リアリティ」を持って理解できます。

 小説としては、企業小説にありがちな展開だし、キャラクターの人物設定も単純なので、面白いとはとても言えません。原発のステークホルダーの立場、考え、関係性を理解するための教材として読むのが良さそうです。

 それにしても、日本って、やっぱり国民が阿呆なのだということを感じざるえず、読んでいて暗くなるばかりです。せめて、私は自分で情報が取れ、自分の頭で解釈し、行動する国民でありたいと思います。
コメント
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