水戸黄門漫遊マラソンの前夜に定期演奏会をやってくれるという嬉しい心遣い(?)で、一度聴いてみたかった水戸室内管弦楽団の演奏会に足を運ぶことができました。本拠地の水戸芸術館は水戸駅から歩くと15分ぐらいで、隣接しているタワーが目印です。
《NHKニュースの中継でよく目にするランドマーク》
水戸芸術館はコンサートホールに加え、劇場やギャラリーも併設していて、文化的な香りが漂う、いい雰囲気。ありがちな無機質な市民会館とは一線を画してます。コンサートホールは収容680名で、丁度、東京文化会館の中ホールぐらいの大きさ。ステージがとっても近くアットホームでありながら、デザインも洗練されています。これからどんな演奏が聴けるのか、居るだけでワクワクしてくるような空間になってます。
《芸術館入口》
《コンサートホールATM》
この日の指揮は女性声楽家でもあるナタリー・シュトゥッツマンさん。歌は聴いたことがありますが、指揮は初めてです。プログラムも興味深い構成で、モーツァルト・プロコフィエフ・ビゼー夫々の初期の交響曲を揃えてました。表情豊かに、高い身長を目一杯に使っての指揮姿はとっても明るく輝いた印象を受けます。
モーツァルト以外は初めて聴いた曲ですが、プロコの交響曲一番は変化があって楽しかったし、ビゼーの交響曲は古典的ながらも華やいだ音楽でとっても楽しめました。ロッシーニやグノーの交響曲の影響を受けてるらしいけど、ベートーヴェンの初期にも似ている気がしたなあ。
演奏会の度に世界各地から水戸芸術館に集まるという楽員さんたちが奏でる音もとっても福よかで美しいものでした。コンサートマスター(ミストレス)が曲毎に変わります。プロコフィエフの交響曲第1番では竹澤恭子さんが務めておられました。人数も少なく、ステージが近いので、どこの誰がどんな音を出しているのかが手に取るように分かるのがうれしいです。シュトゥットガルト放送交響楽団のオーボエ首席奏者であるフィリップ・トーンドゥルさんのソロがなんとも豊かで味わい深い音色で痺れました。ホールの音響も抜群で、ほんわり残響に包まれる幸福感は、何しに水戸に来たのかを忘れるほど。
1時間40分ほどでプログラムが終わったので、アンコールがあるのかなと期待しましたが、残念ながらありませんでした。翌日のフルマラソンを考えると、このぐらいで終わって頂いてむしろ良かったかも。
それにしても、こんな素晴らしい楽団を持っている水戸は恐るべしです。会場には制服を着た中高生たちも多く見かけましたが、こんな手の届くようなところでワールドクラスの演奏を聴けるなんてとっても恵まれた環境ですね。聴衆の皆さんも、とっても静かで、フラブラもなし。自然に音楽を楽しんでいる雰囲気が満ちていて、とっても快適なホールでした。来年も是非、水戸黄門漫遊マラソンと定期演奏会は同日程でお願いしますね!
水戸室内管弦楽団 第97回定期演奏会
コンサートホールATM
2016年10月29日[土]18:30
【指揮】ナタリー・シュトゥッツマン
【曲目】
モーツァルト:交響曲 第25番 ト短調 K.183
プロコフィエフ:交響曲 第1番 ニ長調 作品25〈古典的〉
ビゼー:交響曲 ハ長調
【出演メンバー(50音順)】
*ヴァイオリン:安芸晶子、荻原尚子、川又明日香、久保田巧、佐份利恭子、島田真千子、竹澤恭子、田中直子、豊嶋泰嗣、中島慎子、中村静香、Thelma Handy、福原眞幸、渡辺實和子
*ヴィオラ:大島亮、川崎雅夫、川本嘉子、店村眞積
*チェロ:辻本玲、原田禎夫、堀了介、宮田大
*コントラバス:池松宏、谷口拓史
*フルート:岩佐和弘、工藤重典
*オーボエ:フィリップ・トーンドゥル、南方総子
*クラリネット:リカルド・モラレス、中秀仁
*ファゴット:ダーグ・イェンセン、鹿野智子
*ニール・ディランド、猶井正幸、阿部麿、勝俣泰
*トランペット:デイヴィッド・ヘルツォーク、松居洋輔
*ティンパニ:Don Liuzzi
Mito Chamber Orchestra
97th Regular Concert
October 29 (Sat.), 2016
Nathalie Stutzmann, Conductor
[Program]
Mozart: Symphony No.25 in G minor, K.183
Prokofiev:Symphony No.1 in D major, op.25 "Classical"
Bizet: Symhony in C major