その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

人形劇団ひとみ座 「リア王」 @調布市グリーンホール

2017-02-05 11:18:34 | ミュージカル、演劇



2週続けてのシェイクスピア劇。今週は知人の紹介で、人形劇によるリア王を観に調布市のグリーンホールへ足を運びました。

ひとみ座は、1948年発足で、過去にはNHKで放映された「ひょっこりひょうたん島」を演じた歴史ある人形劇団です。人形劇というのを生で観るのは、小学生の時のイベント以来のような気がします。

人形劇ということでお子様向けのアレンジ版なのかと思ったら、とんでもない思い違いで、本格的なシェイクスピア劇でした。文楽のように人形の裏で黒装束の人が操ります。人形の裏に一人で操っているものと、二人で操っているものがありました。人形は、操り手の人間と同じくらいの背の高さなので、感覚的には人による劇と変わりません。人形は正面に向かって幅は細く、横に広く立体的に作ってあるように見受けられます。表情が変わるわけではありませんが、操り手の動きによって、人形の動きはとてもリアリティがあるので、気持ちや感情がストレートに響きました。

音響も歌舞伎並みに、馬が駆ける音、暴風の音、雷の音が小道具を使って、その場で生成されるので、これもリアリティがあります。

人形を操りながら、台詞を発するのは、自らが演じるよりも難しいのではと思わせます。それでも、難しいシェイクスピアの脚本を、聞き取りやすくかつ抑揚豊かに、緊迫感を伴って演じていたのは、素晴らしいと感じました。前週に観た「マクベス」に比較して、言葉の反乱感が無かったのは、多少とも台本を改めているのかもしれません。

それにしても、「リア王」の救いのなさは、相変わらず凄まじい。人間の狂、欲、愛、憎、誠がこれほど凝縮された作品は例をみないでしょう。ロンドンで、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)の引っ越し公演で観たときは、打ちのめされて数日尾を引いたのですが、人形劇であってもそれは変わりそうにありません。


※ひとみ座のHPから拝借

【日時】
2017年2月4日(土)14:00開演 (13:30開場)

【公演時間】
約2時間20分(休憩15分含む)

【会場】
調布市グリーンホール 大ホール   京王線「調布駅」下車徒歩1分

リア王:龍蛇俊明
ゴネリル:篠崎亜紀
リーガン:小林加弥子
コーディリア:松本美里
グロスター:山本幸三
オールバニ:岡本三郎
コーンウォル:来住野正雄
ケント:齋藤俊輔
エドガー:田中弘映
エドマンド:三坂龍輝
オズワルド:伊東 亮
バーガンディ:三坂龍輝
道化:森下勝史
笛吹人形1:西田由美子
笛吹人形2:松島 麗

スタッフ
作:W・シェイクスピア
訳:斎藤 勇(岩沼文庫版)
脚色/演出:伊東史朗
人形美術:片岡 昌・髙橋ちひろ
舞台美術:髙橋ちひろ
作曲:河向淑子
音響プラン:冨田 愛
照明プラン:坂本義美(龍前正夫舞台照明研究所)
舞台監督:来住野正雄
演出助手:蓬田雅代
宣伝美術:三浦佳子
制作:半谷邦雄・田坂晴男

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