毎年2月に下北沢で演劇祭をやっているのだが、ここ2年ほど行けなかったので、久しぶりに出かけることにした。特に、お目当があったわけではないのだが、山の羊舍という劇団の公演を選んだ。「シニカルで頭脳的エンターテイメント」という口上に魅かれたのかな?出かけてみれば、完売とのことで、前日に電話予約しておいてよかった。
会場は100名ちょっと収容の小劇場。手が届くようなところで、劇が始まる。イギリスのある郊外のお屋敷(?)のパーティで、1年前に「自殺」した弟の状況を巡って、家族や友人、恋人などの関係者7名の会話が進んでいく。誰もが何かを隠していて、これまで真実だとされていたことがそうでなかったことが判明し、新たな事実が次々と明らかになっていく。場面はお屋敷の居間で変わらないまま、1時間50分で一気に上演される。
失礼ながら、役者さんたちは知らない方ばかりだったが、舞台、TV,映画等で活躍されているプロの方々のよう。台詞を噛んでたところがいくつかあったけど、熱演で観ていて没入できた。
作品の展開は、飽きることのないスピード感と緊張感を併せ持ったものだった。場は変わらないが、見る者は、舞台の会話で想像力がどんどん膨らんで、まるで観ていない弟の「自殺」シーンや登場人物間の秘密だったやりとりが、はっきりと脳裏に浮かんでくる。イギリスの作家による作品らしいが、原作がしっかりしているのだろう、1時間50分が随分と短く感じられた。
衝動的に選んだ公演ではあったが、これは当たり。もうひと作品ぐらい、演劇祭開催中に観てみたい。
(どうでもいいが、観客は驚くほど若い人が少なく、なぜか中高年の観客(それも女性)が多いのも印象的だった。)
山の羊舍 第6回公演
2017年2月5日(日)
下北沢 「劇」小劇場
作:J・B・プリーストリー 翻訳:内村直也 上演台本・演出:山下悟
危険な曲がり角
出演
青木鉄仁(青年座)
小澤英恵(俳優座)
高橋紀恵(文学座)
山口眞司(演劇集団円)
中條サエ子 (演劇集団円)
佐賀孔生(演劇集団円)
川合麻璃(フリー)
スタッフ
照明:戸谷光宏(ライズ)
音響:齋藤美佐男(TEO)
美術:田辺尚志
衣装:樋口藍
舞台監督:西山みのり
宣伝美術:千葉勇祐デザイン事務所
Web: 山下菜穂
協力:文学座・俳優座・青年座・演劇集団円
制作:高木由起子
企画:山の羊舎