昨年の秋に「アカデミア美術館展」があったばかりなのに、半年も経たないうちに再びヴェネツィア派の名画を見れる機会に巡り合えた。所蔵のコレクションが少ないのは致し方ないにしても、居ながらにして世界の名画が鑑賞できる美術マーケット東京って、ホント凄いと思う。
今回もティツィアーノを中心にヴェネツィア派の絵画が多数展示されている。フィレンツェのウフィツィ美術館、ナポリのカポディモンテ美術館、ヴィチェンツァのキエリカーティ宮絵画館の所属作品が中心となっている。70点ほどの作品が展示していあるが、やっぱりティティアーノの作品は光を放っている。《フローラ》、《復活のキリスト》、《ダナエ》(冒頭のポスターの絵)、《マグダラのマリア》は特に素晴らしい。
とりわけ《フローラ》の繊細なタッチはポスター・チラシやPC画像からでは絶対分からない。PCスクリーンで眺めている際は「この絵のどこがそんなにいいのかなあ」と首を傾げていたのだが、絵の前に立った時、これまでの印象との格差に愕然とした。柔らかいタッチや匂ってくるような色香はホンモノならでは。近づいて見るほど、この作品に引き込まれる。
初来日という《ダナエ》(ナポリ、カポディモンテ美術館)は《フローラ》よりもさらにエロチック。 ダナエの恍惚の表情は正視するのが恥ずかしいくらいだった。ティツィアーノに加え、ジョルジョーネ、ヴェロネーゼの絵があるのも嬉しかった。
会場は思いのほか空いていて、余裕を持ってみることができた。贅沢な時間、空間である。4月2日までなので、まだの方は是非。
《構成》
I 1460-1515|ヴェネツィア、もうひとつのルネサンス|Venice, Another Renaissance
II 1515-1550|ティツィアーノの時代|The Age of Titian
III 1550-1581|ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ ─ 巨匠たちの競合|Titian, Tintoretto and Veronese: Rivals in Venice