著者のYouTubeチャネル「リベラルアーツ大学(通称:リベ大)」を遅ればせながら今年1月から視聴しはじめた。YouTubeはアクセス数狙いのYouTuberのマイナスイメージが強かったので、距離を置いていたのだが、「リベ大」で見方が大きく変わった。
「リベ大」では、お金への向き合い方をベースに、テーマは仕事論、人生論にまで及び、人が資本主義社会で生きていくうえで絶対に必要なのに、学校では殆ど教えない知識・スキルを分かりやすく説明してくれる。「こんな優良コンテンツが無料で聞けるのか~」と目から鱗が取れる感覚だった。本書はその「リベ大」のノウハウ、エッセンスをイラスト一杯の書籍にまとめたものだ。
本書のお勧めポイントをいくつか紹介すると・・・。
お金にまつわる力を、「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」の5つの力で説明する。個別に「貯める」を解説する本、「稼ぐ」を説く本、「増やす」を教える本はたくさんあるが、これらの力を全体像で示すものは見たことが無い。まさにお金のライフサイクルマネジメントだ。このフレームワークを学ぶことで、お金と向きあう基本的姿勢が身につく。
個人的には、本書ではページはあまり割かれていないが、お金を「使う力」も有意義な人生を送るためにとっても大切な「力」であることを気づかせてくれたことは感謝だ。
また、それぞれ5つの力として説明される考え方・ノウハウは基本的だが重要なものばかり。本質が解説されると言える。
例えば、保険。保険とは、自分の人生のリスクを金銭的にどうコントロールするかということ。リスクが発生する確率(高い・低い)と発生した際の損失の大きさ(大・小)で作るマトリックスのセグメントごとに対処法が異なっていて、保険は「発生する確率は低いが、損失が大きい」セグメントに備えるものであるべきである。その視点で考えると必要な民間保険は、火災保険、対人・対物の自動車保険、掛け捨ての死亡保険の3つであり、あとは健康保険などの公的制度を最大限活用し、浮いた掛け金は貯金・投資する方が良い。言われてみれば、当たり前のことなのだが、今の自分は終身型生命保険、ガン保険、介護共済、地震保険・・・大した勉強もせずいくつの保険に入っているのだろう~。
本書ではあまり触れられていないのがとっても残念なので、YouTubeを視聴してほしいのだが、著者が常に強調しているのは「人生における目的や価値観」だ。同じインデックス・ファンドに投資するにしても、その目的が違えば、その対処方法(投資の仕方・量や回収の仕方などなど)は全然違ってくる。お金に向き合うことということは、自分・人生に向き合うことなのである。
個人的には、本書は辞書、ガイドブック的に一家に一冊必携。併せてYouTubeの視聴を是非お勧めしたい。