その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ドビュッシー〈ペレアスとメリザンド〉/ 大野和士、東フィル @新国立オペラ

2022-07-20 07:30:01 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

7月9日(土)に6日(水)に続いて2回目の〈ペレアスとメリザンド〉を観劇。

今回は前回、もう一つピンとこなかった演出に着目して観劇した。メリザンドの夢の中という設定における二人のメリザンドや、メリザンドの成長と言った点は理解が進んだが、結論としては私の好みからは外れた演出だったということが認識できた。

夢の中という設定にも関わらず、表現はやたらリアルで、原作にあった幻想的な世界観が逆に損なわれているのが一番の違和感だろうか。性交シーンをことさらに強調するところも、興ざめだ。原作とは別の芝居として見ればいいのかもしれないが、原作に寄り添った素晴らしい音楽があるのに、演出の主張が強すぎると感じたのは私だけだろうか。

歌手陣と演奏は引き続き素晴らしかった。今回、改めて、題名役の2人を引き立てているのが、ゴロー役のナウリということが良く分かった。歌唱、演技ともに秀逸で、舞台に漂う緊張感が強烈だった。ペレアス役のリヒターの高く伸びるテノールにも聞き惚れる。イニョルド役の九嶋さんは、私はこの日が初だったが、透明感ある美しい声で場面を引き立てていたのが印象的。

大野さんの指揮の元、東フィルは相変わらず好調でドビュッシーの音楽を堪能した。聴けば聴くほどに、この音楽は美しい。

もう1回観たいぐらいだが、スケジュールとお金の都合でこれにておしまい。新国立オペラの今シーズンを締めくくるのに相応しいパフォーマンスだったと思う。

クロード・アシル・ドビュッシー
ペレアスとメリザンド<新制作>
Pelléas et Mélisande/Claude Achille Debussy
全5幕〈フランス語上演/日本語及び英語字幕付〉

公演日:2022年7月9日[土]
予定上演時間:約3時間25分(第1部105分 休憩30分 第2部70分)

 

スタッフ・キャスト

【指 揮】大野和士
【演 出】ケイティ・ミッチェル
【美 術】リジー・クラッチャン
【衣 裳】クロエ・ランフォード
【照 明】ジェイムズ・ファーンコム
【振 付】ジョセフ・アルフォード
【演出補】ジル・リコ
【舞台監督】髙橋尚史

スタッフ・キャスト

【指 揮】大野和士
【演 出】ケイティ・ミッチェル
【美 術】リジー・クラッチャン
【衣 裳】クロエ・ランフォード
【照 明】ジェイムズ・ファーンコム
【振 付】ジョセフ・アルフォード
【演出補】ジル・リコ
【舞台監督】髙橋尚史

キャスト

【ペレアス】ベルナール・リヒター
【メリザンド】カレン・ヴルシュ
【ゴロー】ロラン・ナウリ
【アルケル】妻屋秀和
【ジュヌヴィエーヴ】浜田理恵
【イニョルド】九嶋香奈枝
【医師】河野鉄平

【合唱指揮】冨平恭平
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

共同制作:エクサンプロヴァンス音楽祭、ポーランド国立歌劇場

Co-production with the Festival d'Aix-en-Provence, Teatr Wielki - Polish National Opera

 

CREATIVE TEAM
Conductor: ONO Kazushi
Production: Katie MITCHELL
Set Design: Lizzie CLACHAN
Costume Design: Chloe LAMFORD
Lighting Design: James FARNCOMBE
Choreographer: Joseph ALFORD
Revival Director: Gilles RICO

CAST
Pelléas: Bernard RICHTER
Mélisande: Karen VOURC’H
Golaud: Laurent NAOURI
Arkel: TSUMAYA Hidekazu
Yniold: KUSHIMA Kanae
Un médecin: KONO Teppei
Geneviève: HAMADA Rie

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra

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