その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

〈大鳳凰図転生物語 小布施とHOKUSAI 神妙に達していた絵師〉@NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)

2022-07-15 07:30:00 | 美術展(2012.8~)

《大鳳凰図転生物語》の企画展最終日に東京オペラシティにあるNTTインターコミュニケーション・センター(ICC)に駆け込み鑑賞。丁度、この3週間前の週末に善光寺御開帳の参拝と併せて小布施町に訪れ、北斎による岩松院天井画のオリジナルを観たばかりだったので、デジタル技術でどう「転生」するのか是が非でも観ておきたかった。

300億画素を使って天井画を高精細デジタル化するという、どのくらい凄いかわからないくらい野心的なプロジェクトである。そして、その調査プロセスの中で、一定の方向から光をあてると「鳳凰図」が光ることや、天井画は集団で制作することをや耐久性を考慮して原図からデザインを簡素化していること、などが発見されたことを知り驚きだった。


〈デジタル化された鳳凰図〉

圧巻は江戸時代の岩松院訪問を「体験」できる3Dライブシアター。バーチャル空間で、門前の桜並木をくぐり、人々が行き会う中、岩松院の本堂へ達する。そして鳳凰図を見上げる。場の空間の広がりが違うので感覚は多少異なるものの、天井画は3週間前に見たオリジナルそのものだ。そして、調査の中で発見された、桜祭りの時期に、本堂正面から沈む夕陽を受けて黄金色に輝く鳳凰図は、現地でも体験できないものだった。鳳凰の神々しさに立ちすくんだ。


〈この頭上に輝く鳳凰図〉

私のアンテナが低かったのだが、ICCでは既にいくつかの北斎や廣重の浮世絵のデジタル化などの展示を行っていたことを初めて知った。こうした文化財をデジタル技術で継承していくことは素晴らしいし、是非、今後も続く企画展は覗いてみることとしたい。

2022年7月3日訪問

コメント
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