映画は好きだし見るけど、追うのはストーリーと俳優さんたちの演技ぐらいで、漫然とスクリーンを眺めていることが多い私のような人にはぴったりの映画鑑賞入門本。
大学での講義をベースにしているということだが、各章のテーマが明確で、わかりやすい。
私には、ショットの意味合い、映像のつくり方、映画が提起するテーマの深堀などの話題が特に興味を引いた。漠然と流して観ていた映像が、論理的に説明され、「なるほど、そーなのか~」と納得させられ、映画の見方の軸が増えた気にさせてくれる。
具体的な映画のシーンを例にとって解説してくれるのもありがたい。「東京物語」「海街ダイアリー」「裏窓」などは見たこともあるので親近感もあった。ただ、いずれも視聴後時間も経っているので、記憶も曖昧になっているところもあり、是非、見直してみたいと思う。
タイトルの枕についている「教養」とか「仕事と人生に効く」とかが余計だと思うのだが、ストレートに映画鑑賞入門では売れないのかな?
自信もってお勧めできます。
<目次>
プロローグ 「トイ・ストーリー」は難しい?
第1講 映画を見たらどんないいことがあるか―人生が劇的に変わる5大効用
第2講 映画史を知ればビジネスの基本がわかる―イノベーションと産業の歴史
第3講「日本の古典映画はなぜ世界で評価されるのか―黒澤・溝口のすごい仕事術
第4講 絵画のように映画を見る―人間の真実を描いた小津の『東京物語』
第5講「映画で考える「家族のあり方」―是枝裕和『海街diary』の視線劇
第6講 映画のトリックに騙されてみる―ヒッチコックから学ぶ「バイアス」にとらわれない方
第7講 映画の「噓」を知る―人の心を動かす映像戦略
最終講 あなたの感想が世界を変える―情報を整理し、表現する力
付録 必見!! 世界と日本の名作映画111選/映画鑑賞ノート